4日に配信した前回の当コラムでは「トランプ相場」の終わりを告げるデータとして、米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数を取り上げてみた。ISMが同指数を発表した翌日に明らかになった非製造業の総合景況指数は、製造業のトレンド転換をより明確な形で裏付けた。

  現下の景気拡大期で製造業景況指数は3つ目の山を形成しつつあるが、非製造業指数でも緩やかながら、同様のパターンが見て取れる。同指数は3月に前月比で2.4ポイントの大幅低下を記録して55.2となった。今回の山は昨年8月の51.7を起点とし、2月の57.6で頂上に到達したようだ。景気循環が煮詰まる段階では、両指数とも57~58近辺でピークを付ける傾向がある。今回も2月の製造業指数が57.7。同月の非製造業指数は57.6で、ほぼ一致した。

  ISMの製造業ならびに非製造業の景況指数は企業経営者のマインドの動きを探るものだが、消費者サイドの動きはどうだろうか。伝統のあるミシガン大学の消費者信頼感(期待指数)と企業経営者のマインドを比べると、両者の間にかなり高い相関が認められる。さらに「トランプ相場」で舞い上がった株価の動きを加えて見ると、ドナルド・トランプ第45代大統領の指揮の下、消費者、経営者、投資家らが繰り広げる三者三様のバブルの舞が見事に一致してきたことが分かる。

  この見事な三者の舞もそろそろ、横ばいから下降線をうかがい始めたように見える。ここまでは企業経営者、消費者のセンチメントに基づくいわゆるソフトデータから迫ったが、実際の経済活動に基づくハードデータでさらに固めてみよう。

  今回は国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費支出(PCE)を中心に分析する。3月30日に発表された昨年第4四半期実質GDP確定値の個人消費項目が前期比年率3.5%増に上方修正されたことを好感して、株式市場では買いが入っていた。

  しかしその翌日に発表された2月のPCEは、インフレを除いた実質ベースで前の月に比べ0.1%の減少となった。1月は0.2%の減少だったので、これで2カ月連続でマイナスを記録した。30日の株式市場で買い材料とされたのは、第4四半期、つまり10、11、12月の個人消費の平均値である。

  今年第1四半期に入ってから1月、2月と連続してマイナスに転じてきたわけだ。3月の実質PCEが前月比横ばいと仮定すると、第1四半期の実質PCEは前期比年率で0.9%増と、前期の3.5%増から急減速する。実質PCEが3月もマイナスを継続すれば、傷はさらに深くなる。

  PCEの先行きに影を落としているのは、自動車販売台数の落ち込みである。3月の全自動車販売台数は年率換算で1653万台と、前の月から5.4%の大幅減少を記録している。これで3カ月連続マイナス。米金融当局が実施したゼロ金利政策に乗って販売店もゼロ金利ローンで突っ走ってきたが、どうやらピークを過ぎ、下り坂に差し掛かってきたようだ。

  今回の景気拡大は自動車が強い牽引力を発揮してきただけに、その失速の影響は大きい。「トランプ相場」も風前の灯火にみえる。

 (【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)

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