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シャープ株根拠なき熱狂にアナリスト警鐘-鴻海買収から1年

訂正済み
  • 時価総額は約2兆4000億円、日立製作所に迫る規模に
  • アナリストの投資判断は12人中11人が「売り」、目標株価90円も

経営危機から再建途上のシャープの株価が大幅に上昇している。台湾の鴻海精密工業による巨額の出資が決まってから1年、株価は上昇基調を続け、2016年8月に付けた安値から5倍以上に高騰しているが、アナリストらは業績の裏付けが乏しく、大きく変動する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

  シャープ株の5日終値は前日比0.2%安の497円。鴻海とシャープが買収契約に調印したのは昨年4月2日でその直前の営業日の終値は125円。鴻海から買収額の払い込みを完了する直前の8月1日には一時、87円と直近での最安値をつけていた。6日も続落となり前日比3.8%安の478円で取引を終えた。

  世界最大の電子機器受託製造会社で米アップルのiPhone(アイフォーン)も製造する鴻海の傘下で再建を進めているシャープは10-12月期に純損益で黒字転換を果たした。しかし、2月17日時点では、前期(17年3月期)の純損益を271億円の赤字と見込み、売上高は前の期比17%減の2兆500億円になると予測していた。そうした中、シャープの時価総額は約2兆4000億円と、同じ国内の電機関連メーカーでは京セラを上回り、約2兆8000億円の日立製作所に迫る規模となっている。
  
  ブルームバーグが集計した12人のアナリストの投資判断では11人が同社を「売り」推奨、1人が「中立」としている。リポート発行後6カ月-1年の目標株価のレンジは90-330円となっており、足元の株価とは開きがある。

空売りの買い戻し  

  ジェフリーズのアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は5日の電話取材にシャープ株の上昇は業績改善に裏づけされたものではなく、空売りの買い戻しによるところが大きいとしたうえでシャープの経営状況そのものは「製造部門のあらゆる領域で極めて悪い」と述べた。

  空売りは証券会社などから株を借りて売り、その後株を買い戻してその差額を得る取引。調査会社マークイットによると、4月3日時点のシャープ株の空売り比率は16.3%(対浮動株)だった。ゴーヤル氏によると空売りしていた投資家が、株を買い戻すことで急騰するという「危険な現象」に注意しなければいけないという。
  
  SMBC日興証券の桂竜輔アナリストは3月29日付のリポートで新経営陣による構造改革などは評価されるべきとする一方で、「ディスプレイ市況回復という環境要因に支えられてきた面も多く、株式市場はそこで過度な期待を織り込んでおり、逆風となれば大きく期待は萎(しぼ)む」とし、それへの対処次第で「同社株価は大きく変動しよう」とした。

  12人中で唯一中立を推奨している野村証券の岡崎優アナリストは10-12月期の業績について、営業利益が189億円と黒字を確保し、野村の予想120億円を上回った順調な内容だったと評価した。

  シャープ広報担当の福川祥子氏はブルームバーグの取材に対し回答を控えた。

(第2段落に株価情報を追加します.)
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