東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=110円台後半を中心に推移。前日の海外市場でリスク回避の動きが一服した流れを引き継いで円高の動きは弱まったものの、地政学リスクや米中首脳会談、仏大統領選への不透明感などがドルの戻りを抑えた。

  5日午後4時19分現在のドル・円相場は前日比横ばいの110円70銭前後。前日の高値付近110円90銭台まで上値を伸ばす場面が見られたが、日経平均株価が午後に前日比マイナス圏に沈むと110円50銭台へ下げる場面があった。前日のニューヨーク市場では一時110円27銭までドル安・円高が進んだものの、終盤に持ち直した。

  バンク・オブ・アメリカ外国本部の岩崎拓也営業本部長は、ドル・円の動きについて「相場に緊張感が感じられず、レンジの中の動きにとどまっている。投資家勢の動きもそれほど活発ではない」と指摘。「オバマケア代替法案の採決を断念して以降、トランプ大統領への期待がはく落していく中で、米経済指標が堅調にもかかわらず、米10年国債利回りが昨年12月以降のレンジの下限で推移している」と言い、「税制改革に向けてのスケジュール感が見えない中で、短期的にドルが上がる理由が見当たらない」と語った。

  岩崎氏はまた、ロシアでの地下鉄爆破事件や北朝鮮による弾道ミサイル発射といった市場の不安要因を挙げたほか、「米中首脳会談でトランプ大統領が国内向けに対中貿易で強い姿勢を見せることがあれば、リスクセンチメントはドル・円にとってネガティブ」と話した。さらにフランス大統領選挙を巡っても極左が支持を伸ばしつつあるなど、「リスクとしてはどちらかというとネガティブ。短期的には戻り余地よりも下げ余地があり、108円近辺まで下落するリスクがある」とみている。

習近平国家主席
習近平国家主席
Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は6、7日両日にフロリダ州にある大統領所有のリゾート施設「マーアーラゴ」で会談する。トランプ大統領は、ワシントンで現地時間4日に開かれた最高経営責任者らとのイベントで、中国との貿易について「われわれはもっとうまくやる必要がある」と語った。

トランプ米大統領
トランプ米大統領
Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg

米中首脳会談前に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した記事については、こちらをクリックしてください

  SBI証券市場金融部の相馬勉部長
は「米中首脳会談はドル売り要因になる可能性がある」としながらも、「貿易問題は長期的な話で、明確なトレンドが出るには時間がかかる」と指摘。ドル・円について「今は米国の税制改革待ちで、改革への期待が残っているので底堅い。米国の金融政策が利上げに動いている半面、日本はゼロ金利で固定されていることも底堅くしている」との見方を示した。

  今週末は米中首脳会談とともに3月の米雇用統計が発表される。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の伊庭剛バイスプレジデントは、「良くても悪くても方向感につながるものにはならないのではないか」と指摘。ただ、悪い結果となった場合には「110円突破の口実にはされやすい」一方、良い結果の場合には「米国の6月利上げ期待が高まるには早すぎるため、ドル・円の戻りは限定されやすい」とみている。

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