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「ほぼゼロクーポン」社債発行は困難、日銀トレードの収益減少

更新日時
  • マイナス金利政策で資生堂と大和ハウス工業などクーポン0.001%
  • 3月の社債買いオペ応札倍率4.4倍、足切り金利が上昇

日本銀行のマイナス金利政策の影響で2016年度の社債発行額は過去最大となり、表面利率(クーポン)がほとんどゼロに近い超低利発行も目立った。しかし、最近は日銀の社債買いオペ金利が上昇し、17年度はゼロクーポンに近い発行が困難との見方が市場関係者の間で出ている。

  ブルームバーグのデータによると、16年度の国内社債発行額は約11兆5000億円と前年度比65%も増加。クーポンが最も低かったのが資生堂や大和ハウス工業などの0.001%で、応募者利回りは0.00033%。クーポンが0.1%以下の社債は3兆8060億円と、前年度の約7.5倍に急増した。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  金利低下で企業の起債意欲は増す。一方でクーポンがゼロ近辺の社債でも投資家が購入するのは、日銀が月に1回行う社債買いオペに応札すれば、ゼロよりも低いマイナス金利で転売できるからだ。社債価格に置き換えると、より高く日銀に買い取ってもらえるので転売益が得られ、市場関係者は「日銀トレード」と呼んでいる。

  昨年1月に導入されたマイナス金利政策を受けて、16年度の社債オペは6、7月に落札足切りレートが史上最低のマイナス0.304%まで低下。しかし、昨年10月以降は同レートが引き上げ(価格は引き下げ)られることが多くなり、直近の3月はマイナス0.014%と、マイナス金利導入直前の15年12月以来の高水準だった。

  日銀トレードで得られる投資家の売却益は縮小し、SMBC日興証券デット・シンジケート部長の新堂尚紀氏は、クーポンが「ほぼゼロ%での社債発行は難しくなった」と指摘。社債オペの対象となる1-3年債について「今後3年債を出すのなら、それ以上のクーポンが必要だろう」との見方を示した。

  今後数週間以内に引き続き0.01%以下のクーポンで起債の可能性はあるものの、投資家らはクーポンがほぼゼロの社債発行は減っていくだろうとみている。

日銀社債買い入れのレートがプラス圏に近づく

社債オペ

  ブルームバーグのデータによると、オペ対象となる3年社債の発行額は2、3月の両月で前年同期の倍以上の3753億円に膨らんだ。SMBC日興証券の阿竹敬之クレジットリサーチ課長は、「オペで売るのを前提に買った人が多かった」として、日銀トレードが大量発行につながったとみている。

  ところが、投資家が大量に買い過ぎたため、「オペでは思うような値段で売れなかった」結果、足切りレート上昇につながったと阿竹氏は分析。オペで売り切れずに投資家の手元に残った1-3年債の繰越額は3000億円以上あるとみており、もはや金利のマイナス幅が大きい水準で「日銀に売るのは簡単ではない」と述べた。

  日銀の買い入れ予定額に対する応札額の割合(応札倍率)は16年度、高くても2.6倍程度だったが、年度末の3月は4.4倍に跳ね上がっている。

17年度も高水準

  16年度の社債発行額が過去最大を記録したのは、日銀が昨年1月に採用したマイナス金利政策が背景にある。起債額が最も大きかったのは英半導体設計会社のアーム・ホールディングスを買収したソフトバンクグループの9710億円。以下、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの順となっている。

  SMBC日興証券によれば、17年度の社債発行額は約10兆5000億円と16年度をやや下回るものの、高水準となる見通し。例年よりも社債償還が多く、借り換え需要があるほか、東京電力の起債再開が背景にある。

  みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、16年度の社債発行増について企業が「資金調達の前倒しを金利が低い間に行っていた」と指摘。17年度については、その反動減に加えて「今年も設備投資が大幅に良くなっていく感じはなく、国内の資金需要は強くない」とみている。

(第 12段落を追加して、更新しました.)
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