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JERA:仏トタルと短期LNG売買契約へ、初のアジア価格連動方式

  • アジアのスポット市場の取引活性化に寄与、先物でヘッジも可能に
  • 契約数量の3分の1はキャンセル可能、LNG需要の不確実性に対応

東京電力ホールディングスと中部電力の燃料火力共同会社JERA(ジェラ)は、同社初となるアジアのスポット市況に連動させて価格を決定する、短期の液化天然ガス(LNG)売買契約を仏トタルと締結する。世界最大のLNGの買い手であるJERAがアジアのスポット市場価格を採用することで、政府が目指すアジアの需給を反映した指標価格の形成につながる可能性がある。

  JERAの佐藤裕紀執行役員が3日のインタビューで話した。今回契約するのはJERAがトタルから計6カーゴ(約40万トン)を購入する1年間の契約。このうち4カーゴ分の値決めについては原油価格に連動させる方式。残り2カーゴではJERA側からキャンセルできる柔軟性を盛り込んだほか、価格は全てアジアのスポット市場を基準に決める。JERAとしては、一定期間の売買契約でアジアのスポット市況だけを基に値決めするものは初めて。近く契約を締結する。

Jera Co. Receives First LNG Shipment From Cheniere Energy Inc.

中部電力の上越火力発電所に入港したLNGタンカー

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  現在LNG契約の多くに、世界の需要の大半を占めるアジア域内のLNG需給とは離れた、日本の平均原油輸入価格などを基準にした価格算定式が用いられており、異なる商品の価格変動リスクにさらされている。アジアのLNG価格に連動する契約を結ぶことは、買い手に本来の需給を反映した合理的な価格で調達できる利点をもたらすほか、政府が目指す流動性の高いアジアのスポットLNG市場の形成にも役立つ。東京商品取引所が上場を目指すLNG先物に、価格変動リスクの回避を目的とした取引を呼び込むことにもつながる。

  佐藤氏は今回のような契約の内容を公にすることで、「アジアのスポット市場を活性化させるスタートになり得る」と指摘。さらにJERAが、影響力の大きい石油メジャーの1社であるトタルと結べたことは、「JERAだけでなく日本、アジアのバイヤーとしていい兆候」との見方を示した。同氏によると、アジアのどのスポット価格を用いるかは非公表だという。

不確実性打ち消す

  2016年度に電力小売りが、17年度に都市ガス小売りが全面自由化されたことで、国内の電力・ガス会社にとっては需要が見通しにくくなっている。特に電力分野では、天候に左右される再生可能エネルギーの供給が拡大していることに加え、東日本大震災以降に基準が見直された安全審査への対応や、停止を求める反対派の訴訟などもあり、原子力発電所の再稼働時期を予想するのは困難。そのため、代替の火力発電用燃料であるLNGの需要見通しにも不透明感がある。

  佐藤氏は、契約数量の3分の1をキャンセルできる条件を契約に盛り込んだことで、そうした需要側の不透明さに対する「不確実性を打ち消せる」と話した。
 

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