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【コラム】偽ニュースの拡散は脅威、科学者が対策に本腰-F・フラム

多数の偽ニュースを書いた男性は昨秋、米紙ワシントン・ポストに対して、人間は昔より愚かになっていると語ったが、実際にはそうではない。ただ米国のメディアでは、明らかにねつ造記事が急増している一方で、大統領がニューヨーク・タイムズなど伝統的な報道機関が「偽ニュース」を配信していると非難するという、奇妙な事態が起きている。

  フェイスブックやツイッターでのニュース共有方法を調査している研究者らは、一般の人に誤った情報を与えようとする組織的な取り組みが脅威になりつつあると指摘する。虚偽情報を流す人間は、新たなソーシャルメディアのおかげで、伝統的な報道機関を使うよりずっと多くの読者に情報を届けることが可能となった。このため、行動科学者やコンピューター科学者が解決に取り組んでいる。

  問題の一部は、人間の社会的動物としての進化過程にまでさかのぼると、研究者らは指摘する。「われわれは生まれつき、人気がある行動を模倣する傾向にある」と、インディアナ大学のフィリッポ・メンツァー教授は指摘する。同教授は最近2日間の日程で開催された偽ニュース対策セミナーでの講演者の1人。

  この傾向のため、人間は「ボット」と呼ばれるソフトウエアが流した偽ニュースにも反応してリツイートする。ソーシャルメディアにメッセージを自動的に配信するボットは、数の力を使い、数千人もの人がツイートまたはリツイートしているかのような印象を与える。行動科学とコンピューター科学の両方を専攻するメンツァー教授は、 ある人間やアイデアが人気があるという幻想をボットが作り出す方法を研究している。同教授と同僚はツイッターのアクティブユーザーの9ー15%がボットだと推定している。

  メンツァー教授と同僚は、ボットと人間を識別するプログラムを開発。同教授が発見したのは、ボットが流すアイデアが大人気になるのは広い人脈を持った人や有名人にリツイートされるケースだということだ。

  昨年11月の米大統領選直後、トランプ氏には300万人の不法入国者が対立候補のクリントン氏に投票したという情報が多数のボットから寄せられ、トランプ氏はこの情報をツイートした。このうわさはある1人の人間の情報源との関連が指摘されているが、ボットは数百人からの支持を得られているかのような印象を作り出したかもしれない。

  一方、ソーシャルメディアを調査する他の研究者は、偽ニュースのパターンが右派と左派で異なっていると指摘。ハーバード大学のバークマン・クライン・センター・フォー・インターネット・アンド・ソサエティーの共同ディレクター、ヨチャイ・ベンクラー氏は、「メディア・クラウド」と呼ばれる、記事の拡散方法を追跡するオープンソースのシステムを利用した。

  同氏が百万超の記事の流れをたどると、左派寄りニュースを共有する人は、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナル、CNNなどの伝統的なニュースソースも共有する傾向にあることが分かった。一方、ブライトバートなど右派寄りサイトの記事を共有する人が、こうした主流ニュースソースを拡散する傾向は低かった。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Scientists Gear Up for a Battle Against Fake News: Faye Flam(抜粋)

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