フランスの極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首による説得が成功し、フランス大統領選で反ユーロ的な立場を国民が受け入れる場合、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロの救世主になることを再び求められる可能性が高い。

  しかし問題なのは、ドラギ氏には今回、ユーロを救うために何でもやるという意思、あるいは能力の裏付けがないかもしれないという点だ。

  5月7日の仏大統領選決選投票におけるルペン氏勝利に伴う影響に備える兆候は、ドラギ総裁と他のECB当局者から全く示されておらず、むしろ対処療法的な既存の政策手段の組み合わせが示唆されている。2015年の国民投票の際にギリシャの機能停止をほぼ回避することに役立った緊急銀行支援などは、フランスのユーロ圏での将来の立場が明確になるまでの間、継続して実施されることもあり得るだろう。

  7年続く救済や銀行支援、金融刺激プログラムは、ECBが貨幣を増発する能力が理論的に無限であっても、政治指導者の合意に亀裂が入ればすぐそれが消滅することを浮き彫りにする。フランスのユーロ離脱の賛否を問う国民投票実施というルペン氏の公約が現実のものとなれば、そのような状況が生じ、ユーロの運命を政治家が握る一方、ECBは傍観者的な立場に追いやられることになりかねない。

  ブリュッセルを拠点とするシンクタンク、ブリューゲルのディレクター、グントラム・ボルフ氏は「ECBには無限の火力が備わっているが、政治的支持があることが前提だ。フランスとドイツの立場が同じでなくなれば、政治的支持がもはや存在せず、ECBができることがあまりないことをそれは意味する」と指摘した。

原題:A Le Pen-Led France May Be the Euro Crisis That Draghi Can’t Fix(抜粋)

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