中南米ではこの数日間にベネズエラとパラグアイで反政府デモが発生、エクアドルでは野党の大統領候補が襲撃を受け、ブラジルでは年金制度改革に取り組む大統領の人気低落で政治不安が高まるなど、政治の混乱を示す出来事が相次いだ。

  この結果、今年、最も好調な新興国市場の一部や米国の主要貿易相手国の政治の安定性に関する懸念が広がった。

  以下はこれら中南米5カ国の市場の注目点。

ベネズエラ

  2027年償還の同国債は、最高裁判所が野党多数派の議会の立法権を剥奪すると3月29日に決定した後、昨年8月以来の安値に下落。この最高裁決定は今月1日に撤回され、国債相場の反発の可能性が示唆された。

  シティグループのムニル・ジャリル氏らアナリストは3月31日のリポートで、「政治の混乱は国債に短期的には影響を及ぼす可能性はあるが、原油価格の動向が最終的には国債の先行きを決定するだろう」と指摘した。

パラグアイ

  5億ドルのドル建て債は2週間足らず前の発行以来、上昇してきたが、カルテス大統領の2期目出馬を認める案に抗議するデモ隊が首都アスンシオンの国会議事堂に放火したことが相場へのリスクとなっている。

  カルテス大統領は1日、治安当局のトップを交代させた。同国紙ABCコロルによれば、デモ隊はこの日、再び国会周辺に集結したが、新たな暴力行為は報じられていない。

エクアドル

  社会主義者を自認し、同国を10年間率いてきたコレア大統領の後継者を選ぶ大統領選の決選投票が2日実施された。野党候補のギジェルモ・ラソ氏は先週、2018年FIFAワールドカップの南米予選、エクアドル対コロンビアの試合が行われた首都キトーのスタジアムで、何者かの集団から飲料瓶を投げつけられるなど、襲撃を受けた。

  発行額20億ドルの24年償還のドル建て同国債は、S&Pグローバル・レーティングから同水準の格付けを付与されているナイジェリア債と比べ、依然として利回りが高い。

ブラジル

  通貨レアルは3月31日、ブルームバーグが調査する31通貨で変動性の大きさで上位5通貨に入った。他の上位通貨はコロンビア・ペソやメキシコ・ペソなど。1カ月物の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)に基づきランク付けされた。

  ブラジルの調査会社イボペが全国工業連盟(CNI)の委託で実施し、3月31日に公表された世論調査で、テメル大統領の不支持率が昨年12月の64%から73%に上昇した。ルセフ前大統領が昨年、弾劾裁判を経て罷免された後、就任したテメル氏は景気回復が軌道に乗らない中で不人気な緊縮策を推し進めている。

メキシコ

  投資家の関心を集めている市場もある。メキシコ・ペソは主要通貨で昨年のパフォーマンスが最下位だったが、今年は一転して首位となっている。レバレッジ系のファンドが対メキシコ・ペソでドルを売り持ちしている。これは昨年5月以来のことだ。トランプ米大統領は、昨年の選挙期間中の発言が示唆していたほど、米・メキシコ関係を損ねていないとの見方が背景にある。

原題:Latin Pressure Points Mount in Markets Amid Political Woes (1)(抜粋)

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