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ドル・円は小幅上昇、米経済指標期待や株高支え-米通商政策重し

更新日時
  • 午前に111円13銭まで下落後、午後に一時111円59銭まで上昇
  • 米ISMや米雇用統計でファンダメンタルズ注目-三井住友信託銀

3日の東京外国為替市場のドル・円相場は小幅上昇。朝方は米中首脳会談や日米経済対話などをめぐる政治的な不透明感からドル売り・円買いが先行。その後は、米供給管理協会(ISM)景況指数や米雇用統計など経済指標への期待や国内株価の反発を背景に、徐々に水準を切り上げる展開となった。

  午後3時59分現在のドル・円は前週末比0.1%高の1ドル=111円53銭。午前に111円13銭まで下落した後、午後に入って一時111円59銭まで水準を切り上げた。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%高の1223.71。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニット為替セールスチームの西田朋広主任調査役は、「為替相場は新年度入りしたものの、新規材料探しで動きづらい状況になっている。3月末にかけては、トランプ大統領の政策期待の後退で下げてきたが、それも一巡した格好」と指摘。「目先的には少し先の話になりつつある米税制改革を見守りつつ、米ファンダメンタルズに目を向けることになるかが注目。特に今週は米ISMや米雇用統計が発表されるため、目線がファンダメンタルズに向けば、数字次第でまた6月利上げの可能性に目が向き、ドルにとってサポート材料になりそう」と述べた。

  この日の東京株式相場は反発。日経平均株価は前週末比73円97銭(0.4%)高の1万8983円23銭で取引を終えた。

ドル・円相場の推移
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トランプ米大統領

Bloomberg

  トランプ米大統領は3月31日、公正な貿易を目指した大統領令に署名。米通商代表部(USTR)は同日、2017年版の貿易障壁報告書を公表し、日本の自動車や農産品などの市場開放を求めた。今週6、7日には、米フロリダ州で中国の習近平国家主席とトランプ大統領による初の米中首脳会談が行われる。さらに今月18日には日米経済対話(第1回)が開催される予定。

  FPG証券の深谷幸司社長は、「ドル・円は政治的な不透明感が根強いことが重しとなっている。トランプ米政権の税制改革などが進まないので、矛先が貿易問題に向きやすい中、今週は米中首脳会談がある。トランプ政策の実現性に疑問符が付き上値が重い」と説明。一方で、「週末の米雇用統計など今週は米経済指標が多く、景気がしっかりしていることが変わらなければ、ドル・円は下支えられると思う」と述べた。深谷氏は今週の相場を111円台中心にした値動きとみている。

  日本銀行が朝方発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)の為替相場への影響は限定的。大企業・製造業の業況判断(DI)はプラス12となり、昨年12月調査から2ポイント上昇し、2期連続で改善した。大企業・非製造業はプラス20と、前回から2ポイント改善した。ブルームバーグ調査では製造業がプラス14、非製造業はプラス19が見込まれていた。大企業・製造業の2017年度の想定為替レートは1ドル=108円43銭と、16年度想定レート(107円30銭)から若干円安・ドル高水準に設定された。

  FPG証の深谷氏は、「大企業・製造業DIは予想よりは強くないが、ほどほど良い数字。中小企業DIも改善している」と分析。現在の110~115円のレンジは、日本企業の業績にとって可もなく不可もなく、居心地が良い水準と指摘した上で、企業の想定為替レートは現行よりも下の円高水準とし、「業績の上振れ余地はあると思う」と述べた。

  三井住友信託銀の西田氏は、想定為替レートに対して、「スポットレートよりも低い水準であり、本邦実需筋としては今の水準はどちらも積極的には動きづらいところかもしれない。輸出勢はドル・円がいったん110円10銭で止まったことを確認できた後だけに、焦って動く感じではなく112円や113円といったところが円買いの目線になってくるかもしれない」との見方を示した。

  3日の米国では、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、リッチモンド連銀のラッカー総裁が講演するほか、3月のISM製造業景況指数や2月の建設支出などが発表される。ブルームバーグ調査によると、ISM製造業指数は57.2(2月は57.7と2014年8月以来の高水準)、建設支出は前月比1.0%増加(1月は1.0%減少)が見込まれている。

  ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先週末、ブルームバーグテレビとのインタビューで、「速いペースでの政策引き締めを余儀なくされるような非常に急がされる状況ではない」「今年あと2回の利上げは妥当のように思われる」と発言していた。同発言を受けて、米国市場では米長期金利が低下し、ドルが下落した。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、「ニューヨーク連銀のダドリー総裁がややハト派的な発言をし、今夜も同様の発言を行いそうなのはやや上値を抑えそう」と述べた。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%高の1ユーロ=1.0672ドル。欧州中央銀行のクーレ理事はこの日のパリでの講演で、量的緩和の縮小がコアソブリン債への圧力を緩和するなどと述べた。先週末の相場は一時1ユーロ=1.0652ドルと3月15日以来のユーロ安・ドル高水準を付けた。

  FPG証の深谷氏は、ユーロ・ドルについて、「フランス大統領選やドイツ総選挙など政治イベントを控えており、ユーロの一時的な買い戻しはあるが、積極的に買うことにはなりにくい。政治イベントを乗り切らないと強気になれないので、上昇しにくい」との見方を示した。

  この日の欧州時間には、2月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)やユーロ圏失業率が発表される。ブルームバーグ調査によると、PPIは前月比0.1%上昇(1月は同0.7%上昇)、失業率は9.5%(1月は9.6%)が見込まれている。

  豪ドルは米ドルに対して下落。同時刻現在は0.3%安の1豪ドル=0.7606ドルで推移している。一時は0.7598ドルまで下落した。2月の豪小売売上高が前月比0.1%減少となり、市場予想(0.3%増加)を下回った。

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