ドルは一時112円台回復、米景気楽観-米政権運営に不透明感残る

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  • 正午過ぎに一時112円20銭まで上昇し、21日以来のドル高・円安水準
  • 売り込み過ぎていた分のリバウンドが続いている印象-東海東京証

31日の東京外国為替市場のドル・円相場は一時、約1週間ぶりに1ドル=112円台を回復した。前日の良好な米経済指標や金融当局高官からの発言がドル買いを支えたが、トランプ米政権運営への不透明感が根強く残る格好となった。

  午後3時53分現在のドル・円は前日比0.1%安の111円84銭。朝方に付けた111円70銭から正午過ぎに一時112円20銭まで上昇し、21日以来のドル高値を更新した。その後は伸び悩み、111円台後半に下げた。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数も一時0.1%高の1225.37と1週間ぶりの高水準を付けた。

  東海東京証券金融市場部外貨管理グループの吉田幹彦グループリーダーは、ドル・円の上昇について、「今週にかけて売り込み過ぎていた分のリバウンドが続いている印象。110円割れを失敗したことを契機としたショートカバー(売り建ての買い戻し)が強まっている」と説明。「目先的には3月末を112円台で引けるかが焦点。その上で、向こう2、3日は新年度期待で113円を取れるかどうかといった展開になる」と見込んでいる。

  四半期ベースでは、1-3月期のドル・円は前期比約4%下落する見通し。昨年10ー12月期は約15%上昇だった。前年度末の水準は112円57銭だった。

  しんきんアセットマネジメント運用部の加藤純主任ファンドマネージャーは、「トランプ米大統領就任直後はドルが買われたが、基本的にはリフレ政策への期待感が大いに高まった流れの中で年を越えても最初は底堅かった」と指摘。だが、「時間が経つほど、その期待が実際はがれてくる。共和党も一枚岩でないし、財政の効果は来年だろうとみられている」と言い、トランプ政権運営の不透明感から基調的に大きなドル買いになるのは難しいとの見方を示した。

  ロス商務長官によると、トランプ大統領は31日、対外赤字の原因となるあらゆる形の「貿易上の不正行為」を特定するため包括的な調査を命じる見通し。米政府は30日に、中国の習近平国家主席とトランプ大統領による初の米中首脳会談の日程を4月6-7日と発表したばかり。

  一方、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の追加利上げを巡る発言がドル・円の下支えとなっている。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は30日の講演で、財政刺激策の見通しで成長・物価のリスクは上振れと指摘。またサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、今年は3回、もしかしたら4回の利上げが適切との見解を示した。ダラス連銀のカプラン総裁も、講演後の質疑応答で、年内にあと2回の利上げは基本ケースとして良好だが、経済動向にさらに左右される可能性があると発言した。

円とドル

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、「米連邦公開市場委員会(FOMC)の中心メンバーは、今年は年3回の利上げで一致しているのは明らか。今年3回であと2回の利上げで腹を固めている。米利上げで6、9、12月のうち6月をスキップする可能性は低い。選択肢を確保するには、6月利上げして、景気動向みながら9、12月のどちらかを飛ばすのではないか。6月の米利上げは半分程度しか織り込まれていないので、まだ上がる余地はある」と分析。

  ドル・円については、「来週には米雇用統計があるが、フランス大統領選が終わるまで大きな動きは出ないのではないか。じりじりと113円ぐらいまで上げるだろうが、115円台を付けるのは、5月7日のフランス大統領選の決着が付いてから」と見込んでいる。

  31日の米国では、2月の個人所得・支出や3月のシカゴ製造業景況指数などが発表される予定。ブルームバーグ調査によると、所得は前月比0.4%増加(1月は0.4%増加)、支出は0.2%増加(1月は0.2%増加)、シカゴ製造業景況指数は56.9(2月は57.4)が見込まれている。

  三井住友銀行市場営業部NYトレーディンググループの柳谷政人グループ長(ニューヨーク在勤)は、「米個人所得が注目になってくるだろうし、インフレにつながる話には多分一番反応しやすいと思う。国内総生産(GDP)の個人消費もそうだが、インフレを想起させるというのが市場としては今一番飛びつきやすいネタではあると思うので注目」と語った。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ユーロ=1.0679ドル。前日には一時1ユーロ=1.0672ドルと15日以来のドル高・ユーロ安水準を付けた。3月のドイツ消費者物価指数(CPI)速報値が前年比1.5%上昇となり、市場予想(1.9%上昇)を下回ったことが重しとなった。31日には3月のユーロ圏消費者物価指数が発表される。ブルームバーグ調査によると、前年比1.8%上昇が見込まれている。2月は同2.0%上昇だった。

  野村証の池田氏は、前日のユーロ・ドル下落に関して、「ドイツCPIが予想を下回ったことが効いている。下振れは、輸入エネルギー価格の下押しの影響」と分析。「ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁もコアCPI基調が重要と発言しており、政策姿勢は変わっていない」と述べた。

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