ファストカジュアルもいいが、19世紀の鴨料理も見逃してはいけない

「ファストカジュアル」が急成長のカテゴリーとなっている米レストラン業界だが、それとは対極の古くからある調理器具と方法を用い、時間をかけて作る料理も人気を博している。とりわけ注目に値するのは、ダック・プレスという1880年代にさかのぼる調理器具がダニエル、パ・セ、ラ・グルヌイユ、シャン・リー・パレスといったニューヨークの一流レストランに登場するようになったことだ。

マニアの間で一番人気のダックプレスはアンティーク物で、eベイで2000ドル以上の値が付いている

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  高さ60センチ、重さ9キロほどのダックプレスは、鴨の骨や内臓から血液を絞り出す器具だ。その血を混ぜてソースを作り、鴨肉にかけて出す。血を絞り出すと聞くとゲテモノ料理的なイメージを持つ人もいるだろうが、血はソースにトロミとうまみを与え、とてもおいしくしてくれる。米国のeベイでのサイトでは、アンティークのダック・プレスが約2000ドル(約22万4000円)から売られている。

ダックプレスを巧みに使用することで知られるシェフのローラン・グラ氏

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  ダックプレスを使用するシェフのナンバーワンは誰かと問われれば、フランス出身のシェフ、ローラン・グラ氏と言わざるを得ないだろう。1990年代初めにダックプレスを使い始めたグラ氏はブルームバーグのマンハッタン・オフィスを最近訪れ、愛用しているダックプレスを使い鴨肉料理を振る舞った。

ダックプレスと鴨肉

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  風味を凝縮させて肉を柔らかくするため冷蔵庫で2週間乾燥させたというカナダ産の鴨がこの日の素材だ。鴨はまず丸ごとフライパンで焼き付けてからオーブンでローストする。盛り付け用に肉を切り分け、肉汁はボウルに取ったあと、ガラをダックプレスに入れて血やエキスを搾り取る。グラ氏によると、鴨肉のソースの風味付けにはオレンジ、チリペッパー、コニャックなどが向いている。ブルームバーグでのデモンストレーションでは約3時間で鴨肉のプレスが出来上がった。カリカリの皮に包まれ肉の風味が強い鴨肉に、カスタードクリームのようにダークブラウンのソースがこの上なくリッチで甘く、素朴な風味とソフトなベルベットみたいな食感を添えていた。

鴨肉のプレスを作る最初のステップは、鴨の表面にいい焼き色を付けること

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ローストした鴨は、肉汁が再度吸収されるようにしっかり休ませる

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鴨のガラをプレスに入れ、血とエキスを絞り出す

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鴨から絞り取られた血と肉汁がソースにリッチなコクを与える

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鴨肉のプレスの出来上がり

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原題:Pressed Duck Is the Rich, Old Trend That’s New Again(抜粋)

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