東芝株主がメモリ事業分社化を承認、1兆円赤字に「大丈夫か」の声

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  • 冒頭、「株主の皆さまにはご迷惑ばかりかけ申し訳ない」と陳謝
  • 米WHの破産法申請、「再生とリスク遮断に不可欠」と理解求める

経営再建中の東芝は、幕張メッセ(千葉市)で午前10時から臨時株主総会を開催。主力のメモリ事業の分社化について決議し、株主から承認を得た。新会社「東芝メモリ」株式は過半を売却する方針で、米原発事業の巨額損失で陥った債務超過状態からの脱却を狙う。

  株主からは厳しい声も上がり、総会は約3時間半におよんだ。東芝によると、不正会計問題発覚後の2015年9月30日に開催した臨時総会(3時間50分)に次いで過去2番目の長さになった。1343人の株主が出席した。

  東芝の綱川智社長は冒頭、「株主の皆さまにはご迷惑ばかりおかけし申し訳ない」と陳謝。ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の米破産法11条の適用申請など原発事業についても説明し、「破産法適用はWH再生に不可欠であり、海外原子力事業のリスク遮断をしたい東芝の方針とも合致する」と株主に理解を求めた。

東芝のメモリモジュール

jewel: its flash-memory business. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  東芝は総会前日の29日、WHの破産法適用を申請するとともに、今期(17年3月期)の連結純損失(赤字)が1兆100億円に、債務超過額は6200億円にそれぞれ拡大する見通しだと発表した。今期からWHを非連結化し海外原発事業のリスクを遮断、メモリ事業の売却などによる東芝本体の再建を進めやすくする。

「上場廃止にしない決意を」

  総会で株主からは、東芝は大丈夫か、本当に再生できるのか。絶対に上場廃止にしないという決意が聞きたい--などの声があがった。総会に病欠した志賀重範前会長(当時の原子力責任者)の姿勢を問う株主もいた。綱川社長は「真摯(しんし)に受け止め、しっかりした覚悟で危機的状況を回避すべくまい進したい」と応じた。

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  総会に出席した千葉県木更津市の会社経営、山田豊さん(76)は、この状況に綱川社長らはどこか他人事だとし、「本当に復活できるのか、疑問を感じた」という。10年以上前に1株約1200円で購入した東芝株は現在200円台前半。「投資だから損も仕方ない」としつつも「将来性のある良い会社だと思ったから買ったのに」と肩を落とした。

メモリ売却、債務超過解消へ

  東芝メモリは4月1日に分社する予定。すでに開始している売却手続きは29日に1次入札を締め切った。綱川社長は破産法申請後の会見で「債務超過の解消が十分に見込める提案がそろった」と述べた。締め切り前の段階で内外の企業や投資ファンドなど10社程度が買収に関心を示している。

  メリルリンチ日本証券の平川幹夫アナリストらは29日付リポートで、今後は4月11日を期限とする決算発表の可否に加え、「WHの破産法申請で自己資本の毀損(きそん)が想定以上」に進んだため、メモリ事業の売却価格がどうなるか貸借対照表(バランスシート)改善の観点から「非常に重要」になると指摘した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本武郎シニアアナリストは、18年3月期の債務超過解消は上場維持の必須条件とし、WH関連の追加損失もあり解消に必要な額は7200億円になると想定。東芝メモリの株式価値を1.5兆-2兆円と予想し、WH関連損失を損金計上しメモリ事業を無税売却できるかがポイントになると分析した。

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