味の素は香り、食感、味覚など食べ物に関するノウハウを組み合わせ、弁当や総菜などを販売するスーパーや加工食品メーカーに商品作りを提案する「おいしさソリューション事業」を、食品とアミノサイエンスに続く事業の柱に育てる方針だ。この事業で500億円規模の売上高創出を目指す。

  西井孝明社長が24日にインタビューで明らかにした。製品としてはスナック、スープ、冷凍食品、レトルト食品などに向けた調味料や、乳製品を含むスイーツなどが対象になる予定だ。

  特に香りに関しては、食品メーカーの間で香料の「ナチュラル思考が欧米を中心に強くなっている」ため、需要拡大が見込めるという。同社は長谷川香料と共同で今年1月に自然由来のバニラ香料の工業化試験に成功しており、来年をめどに量産開始に向け準備を進めている。 

  欧州などで販売網を獲得するため提携や合併・買収(M&A)を検討しているという。4月から始まる新3カ年計画ではM&Aに2000億円弱を投じる方針を掲げており、このうち数百億円から1000億円弱をこの分野の投資に振り向ける。

  国内で人口減少が進む中、味の素は積極的に海外で事業を拡大しており、北米や東南アジア、ブラジルなどの地域で売り上げを伸ばそうとしている。2020年3月期までに営業利益と持ち分法による投資利益を合わせた「事業利益」で1240億円の目標を掲げている。同社はスイスのネスレや英蘭系ユニリーバを念頭に置きながら、世界の食品業界でのトップ10入りを目指している。

  同社の事業は現在、調味料や冷凍食品などの食品事業と、アミノ酸を活用するアミノサイエンス事業の2本柱となっており、20年3月期の事業利益目標では食品事業が8割、アミノサイエンス事業が2割となっている。

将来の成長を約束

  西井社長は、おいしさソリューション事業が「将来の成長を約束する」ものだとし、事業の利益率を20%と想定し「将来は事業利益ベースで100億円くらいの規模にしたい」との考えを示した。現在の売上高は数十億円規模で、20年3月期までの中期経営計画期間以降には500億円規模に高めていく考えを示した。

  おいしさソリューション事業以外でM&Aを行う分野として、東南アジアやブラジルなど新興5カ国の食品事業で商品の幅を広めるための投資や、バイオ医療領域での投資を検討している。西井氏によると、成長投資を行うために必要な追加の資金は借り入れで賄う方針だ。

  当面は配当性向30%を維持するとした一方で、総額が「1900億円、2000億円でコントロールできればいいが、とってもいい案件が出てきた時」には、有利子負債資本倍率(D/Eレシオ)50%程度としている同社の目標基準を「超えてもやる」と述べた。

  岩井コスモ証券のアナリスト、西川裕康氏は「本筋はやっぱり既存の食品事業」で稼ぎ頭であることに変わりはなく、そこでしっかりと稼いだ利益を新興国での販売拡大などに振り向ける方がいいと見ている。また欧米では競合する企業が市場を押さえていることから、味の素が強みを持つアジアの市場で堅実に事業を展開すべきだとの考えを示した。

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