パチンコの利用制限や出玉規制も、ギャンブル依存対策案-関係者

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  • パチンコ店に依存症防止対策義務付けも-政府の論点整理案
  • 競馬場ATM、カードキャッシングの機能廃止を検討-論点整理案

政府はパチンコや公営ギャンブルの依存症対策強化に向け、家族申告による利用制限や出玉規制など国家公安委員会規則改正も視野に取り組む。政府がまとめた論点整理案をブルームバーグが29日、関係者から入手した。

  論点整理案では、競馬や競艇などの公営ギャンブル、パチンコについて現状と課題をまとめている。パチンコについては家族からの申告による利用制限をしていないことなどを問題視、「過度な遊技を抑制する一般的な仕組み」の構築が必要としている。

  パチンコ台の射幸性をさらに抑制するための出玉規制や、店舗によってばらつきのある依存防止対策を組織的に行うため、国家公安委員会規則を改正し、業務として対策を義務づけることなどが必要としている。パチンコの出玉規制は1985年施行の国家公安委員会規則第1号で規定されていた。

  日本生産性本部が発行している「レジャー白書2016」によると、15年のパチンコ・パチスロの市場規模は約23.2兆円。東洋大学国際地域学部の佐々木一彰准教授によると、正確な統計はないものの、粗利ベースでの規模は2兆円から4兆円程度になるという。

パチンコ業界への影響

  佐々木准教授は、依存症対策を組織的に行うことは「パチンコ業界の負担増になることは確か」と指摘した。ただ、業界が存続するためにはいずれ対策が必要となることから、「短期的には費用増で業界がへこむが、将来的な必要経費」との見方を示した。

  パチンコは風営法で、「遊技」と位置づけられている。客が遊技をした結果として景品を受け取る建前だが、実際は店の近くにある景品交換所で現金化できる仕組みとなっている。佐々木准教授は、政府レベルでギャンブルという認識をされてこなかったために十分な対策を取ってこなかったのが現実だと述べた。

  一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、政府レベルでの依存症対策を歓迎しながらも、カジノ解禁に向けた言い訳程度の取り組みに終わらないでほしいと語った。

  依存症が問題になりながらも、これまでの自主規制は警察担当者の方針でばらつきがあったと指摘した上で、「既存産業には既得権もあり反発もあるはず」と述べ、最終的な対策が徹底したものとなるか見守りたいと述べた。
  
  全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)のウェブサイトによると、パチンコ、パチスロなどの遊戯場店舗数は2015年末で1万1310店。前年よりも300店以上減った。減少傾向は20年以上続いている。

公営ギャンブル

  政府案では、公営ギャンブルについても競馬場や場外馬券売り場にある現金自動預払機(ATM)からクレジットカードを使って借金できないようにすることを検討。本人や家族申告によって入場規制などの措置を講じる必要性も指摘した。

  公営ギャンブルは、地方自治体が施行者になることで収益金を地方財政に組み入れ、健全化させるというのが運営目的の一つとなっている。

  政府は、昨年12月にカジノを含めた統合型リゾートの整備推進法(IR推進法)が国会で成立したことを受け、関係閣僚会議を設置してギャンブル依存症対策の強化について検討を進めてきた。今後は論点整理案を踏まえ、具体的な対策や実施方法をさらに検討し、今年夏をめどに取りまとめる。

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