東芝は傘下で巨額損失を抱える米原発子会社ウェスチングハウス(WH)が29日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。破たん処理に伴いWHは2017年3月期から連結対象を外れる。損失拡大リスクを早期に遮断し経営再建に道筋を付ける狙いだ。

  発表によると、WHとともに米国外の原発事業の持ち株会社も破産法の適用を申請した。破産法申請に伴う負担の増加により、17年3月期の連結損失(赤字)は従来予想の3900億円から1兆100億円に拡大。株主資本も毀損(きそん)し、従来見込みで1500億円だった債務超過は6200億円に悪化する。

東芝傘下のWHが米破産法の適用を申請
東芝傘下のWHが米破産法の適用を申請
Kiyoshi Ota/Bloomberg

  綱川智社長は会見で、WHなどの破産申請は「米原発事業の再建と、海外原子力事業のリスクを遮断するのに不可欠で、健全経営に向けた第一歩だ」と指摘。事業会社で過去最大規模の赤字となる可能性に「責任を感じている」と述べた。今後は主力のメモリ事業売却などにより「債務超過の解消に全力を尽くしたい」と話した。

  原発子会社の破産申請により一時的負担は増えるが、原発事業での損失リスクを限定しやすくなる。2度延期された昨年4-12月期決算の発表は予定通り4月11日までに行う見通しという。東芝は今後、4月に分社化するメモリ事業の売却などで債務超過からの脱却を図るとともに、社会インフラ事業を柱に収益構造の転換を進める。

「新たな損失ない」

  WHは現在、米国で4基の原子炉を建設中。再生手続きの開始によりWHは裁判所の管理下に置かれ、損失が際限なく広がるリスクを断ち切ることができる。また、破産法適用により債務を圧縮し、再建を進めることになるため、WHの売却先を探しやすくなるなどのメリットも期待できる。

  綱川社長は会見で「海外原発事業で新たな損失は発生しないと認識している」と述べた。発表によると、WHグループは再生手続きにのっとり、当面はこれまで通り事業を継続する予定。このため8億ドルのつなぎ融資を確保し、東芝がそのうち2億ドルを債務保証する。

  東芝は先月、海外原発事業からの撤退を表明。海外では今後、機器納入やエンジニアリングに特化しプラント建築のリスクは負わない方針を示した。海外原発事業については韓国電力公社が、要望があればWH再建の支援企業としての役割を検討するとし、英国の原発事業への出資にも関心を示している。

  ジェフリーズ証券のズヘール・カーン調査部長は、「東芝は損失の拡大が底なし沼ではないことを示す必要があるのに、業績予想を出す度に金額が拡大してしまっている」と指摘。その上で「一つ明らかなのは東芝が生き残るには、これまで以上に取引銀行からのサポートが必要だということだ」と述べた。

  東芝は海外原発事業の拡大を目指し、06年にIHIなどと組んでWHを54億ドル(約6200億円)で買収した。しかし、東日本大震災後の規制強化に伴う工事の遅れなどで損失が拡大した。

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