東電と中部電、既存火力発電所をJERAに移管へ-19年度に完全統合

東京電力ホールディングスと中部電力は28日、既存の火力発電所や燃料の受け入れなどを含む火力発電事業の完全統合で基本合意したと発表した。2017年度上期に契約書を締結し、19年度上期に統合する。

  両社の資料によると、東電HD側で約4400万キロワット、中部電側で約2400万キロワットある国内の火力発電を共同出資会社のJERAに移管し、両社の燃料調達から受け入れ、貯蔵、火力発電など関連するすべての機能をJERAが引き継ぐことになり、LNG調達規模と火力発電規模で世界最大級の企業が誕生する。

  福島原発事故の処理費用の上振れによって、今後30年にわたり廃炉費や賠償費として年5000億円の資金を捻出する必要に迫られた東電HDは、22日に発表した再建計画の骨子に「JERAへの既存火力発電事業の統合は必要不可欠」と明記。収益力を強化するためにJERAの完全統合を急ぐ東電HDと、JERAの成長に必要な投資資金を事故処理費用として奪われることを恐れた中部電の間で、事故処理費用がJERAに及ぶリスクの遮断方法について協議が続いていた。

  中部電の勝野哲社長は都内で会見し、両社で「JERAの財務健全性と経営の自立性確保のための協議を進めてきた」と話した。再建計画の骨子で、「それが確認できた」ことから基本合意に至ったと説明。配当については、一方の株主の財務条件に懸念が生じた際にも過度に配当を出さないルールを作っていきたいと述べた。

IPO計画なし

  東電HDの広瀬直己社長は、JERAの新規株式公開(IPO)の計画はないと述べ、引き続き折半出資を継続する考えを示した。

  両社の有価証券報告書によると、東電HD子会社東電フュエル&パワーの火力発電設備の簿価1兆824億円に対し、中部電は5976億円と2倍近い差があり、火力資産の完全統合後も出資比率を維持するためにはこの差を埋める必要がある。勝野社長はJERAに継承する資産価値評価をこれから行うため差額については不明だとしたうえで、対価として支払う現金の調達方法についても今後の検討事項だと述べた。

  エネルギー関連のコンサルティング会社スキッピングストーンのトム・オサリバン氏は電子メールで、完全統合によって「発電所の運営効率の向上やコスト低減に役立つ」と指摘する。また「規制緩和され価格低下圧力の高まる電力市場では、規模の経済を達成することが最優先されなければならない」と述べた。

  東電HDと中部電は14年10月に燃料調達・火力発電分野での包括的アライアンスに基本合意し、15年4月に共同出資会社JERAを設立。両社の燃料事業や海外発電事業などを段階的にJERAに統合しており、国内の既存火力発電所など残る事業の統合については今春に判断を下すとしていた。

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