28日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=110円台後半で推移した。前日の米株式相場が持ち直したことで、ドル・円の短期的な下落リスクへの警戒が和らいだ半面、トランプ政権による成長策を巡る不透明感が重しとなった。

  午後4時3分現在のドル・円相場は前日比0.1%高の110円71銭。前日のニューヨーク時間に一時110円11銭と昨年11月18日以来の安値を付けた後、米株の下げ幅縮小に連れて110円台後半まで戻した流れを引き継いだ。仲値にかけて一時110円83銭まで上昇した後、110円53銭まで反落。その後、ロンドン時間入りとともに南アフリカ・ランド主導でドルが買われたの受けて、ドル・円もやや強含む場面が見られた。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、ドル・円について「海外時間の動きで110円前半でのドルの押し目買い意欲は確認された」と言う。トランプ政権の税制改革に関しては、「財政中立といった点や財源の問題などから規模は小さくならざるを得ないが、それでも何らかの行動を促すという意味で税制改革は実施するだろう」と指摘。「具体的な数字がどうなるかで成長のペースも米国の利上げのペースも変わる。それを踏まえた上で、市場の期待とそのポジションがどうなっていくかが焦点」とみる。

  27日の米株式市場では、下院共和党がヘルスケア法案の採決を断念したことを嫌気し、S&P500種株価指数は一時1%近く下落していたが、その後下げをほぼ埋める展開となった。

  トランプ大統領は24日に撤廃案の下院採決が見送られた後、記者団に対して「大減税と税制改革に向けて、恐らく非常に、非常に力強く進み始めるだろう」と述べた。ムニューシン米財務長官は同日、「税制改革は絶対に行う。法人と個人両方が対象だ」としたものの、税制見直しについて8月までに完了するのは困難かもしれないとの見方を示した。

  一方、米ニュースサイトのアクシオスは、トランプ米大統領が税制改革とインフラストラクチャーに同時に取り組む計画を検討していると報じた。同計画について直接知るホワイトハウスの関係者を引用している。

  三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)は、税制改革の進捗(しんちょく)を見ながら、「マーケットも一喜一憂するというような相場に入っていくのではないか」と指摘。ドル・円については「税制改革がうまく進みそうだという話になれば、111円、112円に少し戻せると思うが、やはり無理だというような話が多くなってくると、110円を割り込んでしまうというリスクはしばらく警戒しなくてはいけない状態」との見方を示した。

  南アフリカ・ランドは対ドルで下落し、一時2.7%安。NBCフィナンシャルマーケッツアジアのデービッド・ルーディレクター(香港在勤)は、「南アフリカのズマ大統領がゴーダン財務相を更迭する意向であることが報じられて、ランド売りになっている」と指摘。その上で「材料がない中でランド主導で一時的にドルが全面高になった」と述べた。

  南アフリカの政治リスクについては、27日にゴーダン財務相が英米での機関投資家向け説明会を中止し、帰国するよう命じられたのを受けて、ズマ大統領が内閣改造を進めているとの思惑が高まり、南アフリカ・ランドは一時3.2%下落した。NBCのルー氏は「これまで財務相更迭の思惑はあったが、実際にズマ大統領がそれを発言したとされていることであらためて材料視されている」との見方を示した。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE