韓国経済を支配する「チェボル」、変化の時か-QuickTake

韓国が経済小国から世界第5位の輸出大国へと成長した背景には、肥大化した家族経営のコングロマリットの存在がある。韓国の「奇跡の経済発展」を長期間にわたって支えた「チェボル(財閥)」として知られるこれらの企業グループは、LGや現代、SK、ロッテ、そして最大のサムスンなどだ。だが、強すぎる影響力と政府との蜜月が大統領をも巻き込んだスキャンダルで顕在化したことにより、多くが世代交代の過渡期にあるこの時期にチェボルに強烈なスポットライトが当たっている。チェボルも変革の時を迎えたのか。

現状

韓国の贈収賄スキャンダルは大統領の罷免とサムスングループの事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕・起訴につながった。李副会長は、朴槿恵前大統領の友人である崔順実被告の利益のためにサムスンが行った数千万ドルの支払いに関与したとされる。2015年にサムスングループ企業2社の合併という物議を醸したイベントがあったが、この2社の株主総会で韓国の国民年金公団から合併の支持を得るためにサムスンがその支払いを行ったのかという点に捜査の焦点が置かれた。この合併を一助に李副会長への経営権継承が円滑に進んだためだ。国会は昨年12月に朴氏の弾劾訴追案を可決。憲法裁判所が今年3月、罷免が妥当との判断を下し、朴氏は失職した。大統領の退陣を求める多くの人々がチェボルに怒りの矛先を向けるなか、昨年12月にはチェボルのトップ9人が国会での聴聞会で非難の矢面に立たされた。サムスンは便宜の見返りに金銭的支援を提供したことを否定しているが、投資家には謝罪した。その他、16年の韓進海運の破綻やロッテグループのトップに対する背任・横領疑惑の捜査も、韓国産業システムに対する信頼を揺るがす要因となった。

背景

チェボルという言葉は韓国語で「富の集団」を意味し、日本の旧財閥に影響を受けていると広く考えられている通り、漢字も意味も同じだ。チェボル同様、日本の旧財閥は第2次世界大戦のすぐ後に米国政府により解体されるまで日本経済の中核を担った、同族支配による巨大なコングロマリットだ。韓国では、チェボルの構築が急速な経済発展を実現する鍵とみなされた。朴正煕大統領(罷免された朴槿恵前大統領の父親)は、1960年代の軍事クーデターで政権を掌握してから間もなく、政府により選ばれた企業が大規模プロジェクトを請け負い、多くの場合政府が保証する融資でそれを賄うという「誘導資本主義(guided capitalism)」を軸とした近代化を推し進めた。韓国の公正取引委員会によるとチェボルの伝統的定義に当てはまるコングロマリットは現在45存在し、上位10のチェボルが韓国の企業資産全体の27%余りを所有する。

Source: Bloomberg

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論点

チェボルは韓国の経済的成功に貢献してきたが、政治家や投資家の多くは、このシステムが21世紀の経済に十分に適応できない文化遺産だと主張する。チェボル傘下の企業の株価収益率は米国や欧州、日本の同業他社のそれを下回っているが(コリア・ディスカウントと呼ばれる現象)、これは縁故主義や株式持ち合いに対する懸念を反映している。韓国の一般大衆もまた、少数の一族に富が集中している現状や、中小企業や新興企業にチェボルが及ぼす抑圧的な影響に対する疑念を強めている。漢城大学の金尚祚(キム・サンジョ)教授によると、チェボルが経済成長をけん引し雇用を創出しているとみなされていた以前のように、政府と企業の不法、不適切な関係に目をつぶることを国民はもはや良しとしていない。世論の批判を背に、規制当局や投資家は株式持ち合いの解消とチェボルのガバナンス構造の見直しを要求している。現在捜査の対象となっている15年のサムスングループ企業の合併は、物言う投資家のポール・エリオット・シンガー氏が強く反対していたものの、国民年金公団の賛成で辛うじて実現した。

原題:South Korean Scandal May Force Change of Chaebol Ways: QuickTake(抜粋)

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