27日の東京外国為替市場ではドルが下落。医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の採決断念で米トランプ政権の経済対策運営に対する疑念が強まり、ドルは対円で約4カ月ぶり安値を更新した。

  ドル・円相場は午後3時43分現在、前週末比1.1%安の1ドル=110円17銭。早朝に111円台を割り込み、午前10時ごろには一時110円26銭まで下落。その後安値圏でのもみ合いとなったが、午後3時ごろから再びドル売りが強まり、一時110円15銭と昨年11月18日以来の安値を更新した。

  ユーロ・ドル相場は0.6%高の1ユーロ=1.0860ドル。週末のドイツの州議会選挙での与党勝利がユーロ買い材料となり、一時1.0865ドルと昨年12月8日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだ。

  SMBC信託銀行プレスティアの二宮圭子シニアFXマーケットアナリストは、「トランプ政権の政策実行力が問われており、税制改革は大丈夫なのかという不安感が高まってきている」と指摘。「今週発表される米指標をみても、新たにドル買いを進めようという材料はなさそう」だとし、目先はドル・円の下振れリスクが警戒されると話した。

  トランプ大統領は24日にオバマケア代替案の下院採決が見送られた後、「大減税と税制改革に向けて、恐らく非常に、非常に力強く進み始めるだろう」と記者団に述べた。ライアン下院議長は、共和党議員は税制法案に取り組むと述べ、大統領やムニューシン財務長官と税制について同日協議したことを記者団に明らかにした。

  トランプ政権の財政政策への期待がしぼむ中、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドルスポット指数は前週末から0.5%低下。時間外取引の米株価指数先物は下落し、米10年債利回りは一時1カ月ぶりに2.35%台まで低下している。

  三菱東京UFJ銀行金融市場グループの野本尚宏調査役は、「税制改革が速まるとの声もあるが、そもそも議会共和党をまとめられない中で、そこに対する期待感は薄い」と指摘。ドル・円は3月中は110円割れはないかとみていたが、「月内に109円台を見るリスクが出てきた」と話した。

  27日の東京株式相場は3営業日ぶりに反落し、日経平均株価は2月9日以来となる1万9000円台割れで取引を終了。リスク回避の動きから、円は主要16通貨に対して全面高となった。

ユーロ 

  26日投開票が行われたドイツのザールラント州議会選挙では、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が大差で勝利した。同選挙は今年9月の独連邦議会選挙を占う最初の前哨戦と位置付けられていたが、CDUと政権第1党の座を争う社会民主党(SPD)にとって厳しい結果となった。

  野本氏は、「独CDUが州議会選挙で勝利するなど、オランダをはじめ与党サイドが息を吹き返しつつある」とし、「足元の動きは、仏大統領選に対する不透明感でユーロを売っていたプレーヤーが巻き戻して上がってきた感じ」と説明。「それほどユーロショート(売り持ち)というわけでもなく、むしろ短期的にはユーロロング(買い持ち)に転じている感じもする」と語った。

  米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)の先物取引非商業部門では、21日時点で対ドルでのユーロの売り越しが1万9662枚と2014年5月以来の水準まで縮小。前週の売り越しは4万1027枚で、昨年11月には13万枚台まで拡大していた。 

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