難局にあるゴルフ業界-QuickTake

タイガー・ウッズのゴルフ人生が2009年に暗礁に乗り上げたとき、ゴルフ界全体も厳しい局面に陥った。ゴルフを見る人の数はプレーする人の数とともに減少した。女性蔑視のエリート主義でお金もかかると非難されることの多い、時間も要するゴルフに未経験者を引きつけることも、新しく始めた人を引き止めておくことも難しくなる一方だった。

  ただ、プロゴルファーのスターが新たに出現していることや、リオ五輪で112年ぶりにゴルフがオリンピック競技に復帰したことを理由に事態を楽観視する向きもある。また、1ラウンド18ホールの伝統的スタイルを短くする新たな形式が再活性化につながるとの期待もある。問題は変化を歓迎するとか、進歩的姿勢とかいった表現にはまったくそぐわないスポーツが、速やかに適応できるのかということだ。

岐路にあるゴルフ

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

現状

  プロゴルフ界は沸いている。立役者となっているのが、男子トッププレーヤーの中でもジョーダン・スピースやローリー・マキロイ、ジェイソン・デイといったすべて20代でかためられたトップ級選手。賞金額も跳ね上がり、米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのトーナメントの賞金は2000年代半ばのウッズ全盛期から37%上昇している。とはいえ、一般レベルでは様相が異なる。米国のゴルフ人口はウッズにけん引された03年のピーク時の3060万人から14年には2410万人に落ち込んだ。もう一つのゴルフ大国日本では落ち込みの幅がさらに大きく、中国やインドといったゴルフ新興国での伸びを相殺するほどだ。米国とメキシコ以外の国のゴルフを管轄する英国ゴルフ協会( R&A)によると、新しいコースの開設も過去最低の水準となっている。

  また、ゴルフをプレーする若者の数は過去20年間で30%減少している。16年のリオ五輪ではオリンピック競技に復帰したものの、この天の恵みのようなまたとない宣伝の機会も、ジカ熱への懸念からスピース、マキロイ、デイがそろって出場を辞退したことで裏目に出た感がある。世界最大の総合スポーツ用品メーカーのナイキはゴルフ用品ビジネスから撤退することを決めており、その最大のライバルであるアディダスもゴルフ用品事業を売却する方針を示している。一方、タイガー・ウッズは背中のケガから1年3カ月ぶりにトーナメントに復帰したが、フォームと体力の衰えに泣かされている。

背景

  ゴルフでは常に時間と金が必要だ。15世紀にゴルフにつながるスポーツを考案したスコットランドの貴族や、1890年代にそれを取り入れた米国の中流階級はどちらもそれを十分に持っていた。18ホールをプレーするだけで4時間では足りず、移動時間も加えると、ゴルフをするために1日仕事を休むことになり、ミレニアム世代にとってはもちろん、慌ただしい現代の生活でその時間を見つけるのは難しい。

  週に一度プレーする熱心なプレーヤーの平均年齢はイングランドで2009年の48歳から14年には63歳に大きく上昇した。今日の50歳が今の65歳ほど早い時期に定年退職できる可能性はほとんどないほか、企業の親交を深める活動というゴルフのステータスも弱まっており、環境への影響や女性の取り込みの失敗なども懸念材料となっている。R&Aがようやく最初の女性メンバーを受け入れたのは15年だ。

米ゴルフ人口とタイガー効果

Bloomberg:QuickTake

論点

  ゴルフの改革推進派は、試合時間を短縮した体力的により激しい型を開発することで再起を図った他の昔ながらのスポーツ、例えば、人気を集めている注目すべきクリケットの新たなルール、トゥエンティ20を引き合いに出す。ゴルフでも一つの代替策として9ホールのトーナメントがある。もっと革新的な形では、1打の制限時間が30秒以内で6ホールを回るSPRINT6GOLFや、トップゴルフ(TOPGOLF)というエンターテインメント主体の練習場などがある。実際、こうした努力により米国では自称プレーヤーの数が15年に00年代初め以降で最高に達した。問題はどうやって彼らをゴルフにつなぎ止めるかであり、その最大の障害の一つとなっているのは、ゴルフというスポーツの本質的な難しさである。このため、通常より距離が短くラフも少ない(ボールを探す時間が短縮される)コース、さらには実験的にホールのサイズを大きくすることを求める声が強まった。ゴルフが初心者でも入りやすいスポーツであるべきだという点に異論はほとんどないが、難解なルールと時代錯誤の伝統にどっぷり漬かった競技であることが最大の障害となっているのではないかと疑問視する向きもある。

  定期的に全英オープンを開催するロイヤル・セントジョージズは、膝丈の靴下を履いている場合にのみ短パンでプレーをすることを許可している。やはり全英オープンの定期的な開催地であるミュアフィールドは1744年のクラブ設立以来初めてとなる女性会員を受け入れることを決定した。PGAヨーロピアンツアーと米ツアーは共に主要トーナメントの練習ラウンドでは短パンの着用を認めている。

原題:Golf Is Elitist, Hard, In Decline, But Does It Care?: QuickTake(抜粋)


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