バンカーたたきはもうはやらない、危機がのど元過ぎ大衆は熱さ忘れる

  • 人々の態度が変わりつつある、富の不均衡の方に関心
  • 銀行業界への寛容な姿勢は規制巻き戻しの舞台整える可能性

民衆の敵と呼ばれ、ロンドンやニューヨークでの抗議デモでは悪役の人形に仕立て上げられた。その振る舞いは人々の怒りを呼び、米欧の政治を変えた。

  大西洋の東西で、バンカーは2008年の金融危機とその後のリセッション(景気後退)を引き起こした犯人としてたたかれ、数々の不祥事が暴かれた。悪口雑言がやむことはないかのように思われた。今までは-。

Emmanuel Macron

Photographer: Christophe Morin/Bloomberg

  最近になって、著名ヘッジファンド運用者のジョージ・ソロス氏が「金融の錬金術」と呼んだ魔法の使い手たちがまたぞろ姿を現している。トランプ米大統領は少なくとも5人のゴールドマン・サックス・グループ出身バンカーを側近に置き、銀行業界を規制から解き放つと宣言。フランスでは元投資銀行バンカーのエマニュエル・マクロン氏が次期大統領の最有力候補だ。そして欧州では各国が、欧州連合(EU)を離脱する英国から銀行を誘致しようと競い合っている。

  時間がたち新しい懸念が前面に出てくるに伴い、人々の態度が変わりつつあると、英金融業界に対する消費者の見方について研究をまとめたリタ・コタス氏は話す。

  ロンドン郊外のキングストン大学の上級講師を務める同氏は「人々はバンカーに対する怒りよりもむしろ、全体的な富の不均衡に注目している」と説明。「英国のEU離脱、グローバル化、移民、ナショナリズムについての議論など、あまりにも多くのことが起こった。個人にとって、これらが今では銀行よりもはるかに関心の高い問題だ」と述べた。

  銀行たたきの退潮は、金融危機後に整備された規制を巻き戻す舞台を整えるかもしれないと、米議会に超党派で設置された金融危機調査委員会のフィル・アンジェリーズ委員長は指摘。「これは危険だ」として、「社会と経済を次の金融大災害のリスクにさらす」と警鐘を鳴らした。

原題:Banker-Bashing Is No Longer in Vogue as Crisis Fades From Memory(抜粋)

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