3月第5週(27ー31日)の日本株は、ことし初の3週続落となる見込み。米国トランプ政権の政策実行ペースが期待されたほどではなく、米金利低下や円高進行への警戒感もくすぶる。ただ、来年度の企業業績の改善を見越した買いや3月期末での需給改善から下げ幅も限定的となりそうだ。

  米国では3月中旬以降のヘルスケア法案のプロセスの遅れから、政策をめぐる党内の意見の違いや市場が注視する税制・インフラ整備スケジュールの遅れが浮き彫りとなった。ゴールドマン・サックス証券では、ヘルスケア法案は5月までに成立する可能性は低く、さらに長い時間を要するリスクに言及した。審議が難航すれば、ことし第4四半期と予想していた税制改革案の成立も、18年初めにずれ込むこともあり得るという。

株価ボード前の歩行者
株価ボード前の歩行者
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  第5週は、27日に米シカゴ連銀やダラス連銀、29日にはボストン連銀やサンフランシスコ連銀総裁の講演が相次ぐ。16日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内はあと2回の利上げ見込みと従来と変わらなかった。市場が織り込む6月までの利上げ確率は54%となっており、連銀幹部の発言で利上げ観測が後退すれば、ドルの上値がさらに重くなり、日本株も上昇しにくくなる。このほか、米国で28日に3月の消費者信頼感指数、30日に昨年10-12月期国内総生産(GDP)の確定値、英国では29日に欧州連合(EU)離脱手続き開始の通告などが予定されている。

  ただ、下値も限定的となりそうだ。28日は3月期決算企業の権利付き最終売買日で、週前半は需給面で配当取りの動きが出やすい。また、新年度入りが迫る中、2017年度企業業績の拡大期待も根強くある。国内では、31日発表の2月の鉱工業生産指数は前月比1.5%増と1月の0.4%減から改善する見込み。第4週の日経平均株価は週間で1.3%安の1万9262円53銭と続落、23日の取引では約1カ月ぶりに一時1万9000円を下回った。

  • ≪市場関係者の見方≫

ベイビュー・アセット・マネジメントの佐久間康郎執行役員
  「トランプ米大統領の政策執行能力や実現性に不透明感がある。米経済の基調は強く、統計をそれほど気にしていないが、唯一の注目は平均時給。前年比3%に接近すると政策金利の引き上げ幅以上に長期金利が上がる可能性があり、金利上昇の悪影響が直視されて株価がいったん調整するリスクがある。企業業績も17年度の伸びを織り込んでいる面があるため、さらに上回る何かが出ないとアップサイドはない。ただ、米利上げは4回とみており、年後半にかけて長期金利は上昇トレンドを辿ろう。日本銀行の指数連動型上場投資信託買い期待から下値は堅い」

富国生命の山田一郎株式部長
  「足元で米国の経済指標は弱含んでおり、短期的には耐えるとき。利上げは今後年1ー2回が織り込まれているが、これが減少するかは経済指標次第。米ヘルスケア法案の採決をめぐってトランプ政権に不透明感が残り、大幅減税の期待が薄らぐ。早期利上げ観測は後退しやすい。為替は市場が円安方向をみていた中で円高が進んでおり、1ドル=110円台を割るとさらに円が一段高の可能性もある。ただ、米政権の混乱はある程度警戒されていた。来期の国内企業業績も悪くはないとみられ、日本株が大きく売り込まれるとは思わない」

アセットマネジメントOneの浅岡均ストラテジスト
  「オバマケア代替法案の行方次第では米国株の大幅調整は避けられない。ドル・円は1ドル=110円を割り込み、日本株も相当な売り圧力を受けよう。最初の法案でつまずくと共和党は国民の批判にさらされる。上院に送られても厳しい状況は変わらず、法案成立は難航が予想される。国内では森友学園問題をめぐる23日の証人喚問で幕引きがうまくいかず、市場センチメントは当面ネガティブ。安倍政権の安定を評価していた海外投資家は徐々に嫌がり始めている。為替がドル安方向で推移する中、海外勢は日本株よりも新興国株という流れが鮮明。日経平均の基本レンジは1万9000-1万9500円、日米でテールリスクが起きれば1万8000円割れもある」

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