デビアスが売却目指すロンドン本社ビル、ダイヤの要塞の歴史物語る
Thomas Biesheuvelダイヤモンド生産最大手のデビアスは、1979年からロンドンのチャーターハウスストリート17に本社を構える。同社は既に30年代にはこの通りを拠点としていた。最盛期には世界で採掘されるダイヤの9割がこの建物を経由した。だが、親会社の英アングロ・アメリカンが大規模なコスト削減計画の一環としてデビアス本社をロンドンの別の建物に移転させることを決め、その歴史は幕を閉じようとしている。
かつて約50億ドル(約5500億円)相当のカットしていないダイヤが保管されていた地下の金庫、壁を飾る現代美術品の数々、テムズ川以北では珍しいプライベートヘリポートなど、業界内では伝説的なこの建物を歩いてみよう。
建物概観
セントポール大聖堂とスミスフィールド食肉市場の間に位置する。かつて世界のダイヤ市場を独占していたデビアスがダイヤを蓄えていたのが、ロンドン中心部のこの要塞(ようさい)のような建物。

デビアス本社
入り口
入り口の床には、アングロ・アメリカンの創業者アーネスト・オッペンハイマー氏のおい、フィリップ・オッペンハイマー氏の名が刻まれている。

入り口の床
アートギャラリー
オフィスと廊下の壁には現代美術作品が飾られている。その多くはデビアスの得意客からの贈り物だ。

廊下のギャラリー
金庫
写真は地下にあるメインの金庫。建物にはこれを含め約10の金庫がある。

メイン金庫
ダイヤ原石
デビアスは昨年、合計2730万カラットのダイヤを採掘し、売り上げは61億ドル。鉱山はボツワナ、南アフリカ共和国、カナダのほか、ナミビアの大西洋沿岸に海底鉱山も所有している。

ダイヤ原石
世界の重要拠点を監視
この本社ビルからは、アントワープ(ベルギー)、スーラト(インド)、テルアビブ、ドバイにあるダイヤの取引および製造の重要拠点を絶え間なく監視している。

各地から届く監視カメラ映像
ダイヤの研磨
かつてルーペが使われていた研磨工程を決定する作業は、今ではコンピューターで行われている。

コンピューターで研磨作業を決める
ヘリポート
屋上にはテムズ川以北では数少ないプライベートヘリポートがある。オッペンハイマー一族が自宅からの通勤に使用していた。

屋上のヘリポート
緊急時への備え
ヘリポートから社屋への入り口付近には消火機器を完備。

消火設備
原題:Where De Beers Hid Its $5 Billion Diamond Stash(抜粋)