23日の東京外国為替市場のドル・円相場は、1ドル=111円台半ばまで水準を切り上げた後、伸び悩む展開となった。前日の米国時間終盤の流れを引き継いでドル買いが先行したが、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の採決を控える中、上値は限定的だった。

  午後4時48分現在のドル・円相場は前日比ほぼ横ばいの111円18銭。午前の仲値公示にかけて値を上げ、日経平均株価のプラス圏浮上も後押しとなり111円58銭まで上昇。その後はオバマケア代替法案の採決を控えてドルが伸び悩む中、上げ幅を縮小した。22日のニューヨーク市場では、トランプ政権の政策実行力の不透明感から一時110円73銭と昨年11月22日以来の安値を付けた後、前日急落した米株の持ち直しを受けて終盤に111円台前半へ値を戻した。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、「米国株の下落が昨日はいったん落ち着いたこともあり、ドル・円の買い戻しが先行した」と指摘。ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔為替資金営業部長は、仲値以降のドル・円について「米下院でのオバマケア代替案の採決待ちで動意がなくなった」と説明した。

  トランプ政権の税制・財政政策実現の鍵を握るオバマケア代替法案について、米政権は下院での通過を確実にするため、法案見直しについて下院の保守派と協議している。ANZの吉利氏は、「採決が否決もしくは延期された場合、ドル・円は一時的に110円割れを試す動きが想定される一方、可決された場合には112円半ば水準まで戻す可能性がある」と見込む。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、同法案について「内容の修正を伴う必要があり、内容次第では減税規模など政策期待の抑制につながる可能性がある」と指摘。また、「医療保険改革だけではなく、歳出削減、減税、インフラ投資などの財源確保に難航しそう」とした上で、「調整が進まないと、トランプ政権への期待が後退しやすい」との見方を示した。

  ANZの吉利氏は同法案の採決に関連して、米国債の動きが鍵を握るとみる。ドル・円相場は110円後半にかけての円高局面で「米連邦公開市場委員会(FOMC)後から始まったドル高・円安ポジションの調整の動きはかなり進んだが、米国債の売りポジションには買い戻しの余地がある」と指摘。米10年債利回りが2.2%まで低下する可能性もあるとしている。

  米国債の動向について、ソシエテ・ジェネラルの鈴木氏は、「採決が可決となった場合、足元で米国債利回りの低下が急だっただけに、金利上昇はしやすい。ドル・円も113円台を回復する可能性もあるだろう」と述べた。

  22日のニューヨーク市場では、ロンドンの英議会議事堂付近でテロ事件が発生した局面で、リスク回避の動きから米10年債利回りは一時2.373%と、2月28日以来の水準まで低下。その後、時間外取引となる東京時間には一時2.41%台まで持ち直す場面も見られた。

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