東京電力ホールディングスは22日、原子力や燃料・火力、送配電事業などで他電力会社と協力することにより企業価値の向上と収益拡大を目指す再建計画の骨子を発表した。従来想定から21.5兆円に倍増した福島第一原子力発電所事故にかかわる廃炉費用や賠償費用を捻出するため、3年ぶりに再建計画を改定する。

  新たな再建に向けた「新々総合特別事業計画」の骨子によると、燃料・火力事業では中部電力との共同出資会社JERAへの既存火力発電事業の統合プロセスを確実に推進するほか、原子力事業と送配電事業では全国の電力会社と課題を認識共有する場を早期に設け、共同事業体の設立を目指す。4月中に10カ年の収支計画を含めた新々総合特別事業計画の認可を政府に申請し、今秋には再編統合の進捗(しんちょく)を確認する。

  原発事故の費用面を議論する政府の有識者会合「東京電力改革・1F問題委員会」の提言によると、総額21.5兆円の事故処理費用のうち、東電HDは廃炉費8兆円全額と賠償費のうち3.9兆円分の負担を求められており、経営改革で年5000億円の資金を30年間にわたり捻出する必要がある。また政府は肩代わりしている除染費の4兆円分を、政府の保有する東電HD株の売却により回収することを想定している。

  東電HDの文挟誠一常務執行役は22日の会見で、約55%(議決権ベース)の株式を保有する政府が株式の売却で4兆円を回収するためには、同社の企業価値を7兆円まで引き上げる必要があると指摘。そのためには、22日の終値で1株当たり414円の株価を1500円程度まで高めなければならないという。

  東電HDは今月、従来の計画で目標に掲げていた2016年度中の社債発行再開を実現した。文挟常務は、発行金額900億円に対して、投資家から2倍の引き合いがあり、「まだまだ需要はある」と述べ、17年度以降の継続発行に意欲を見せた。ただ17年度の社債償還額は6000億円を超え、投資抑制や費用削減をしても償還資金をまかなえない可能性もある。新たな再建計画に明記された主要銀行との追加融資の協議については、「キャッシュフロー計算書を見た上で、判断したい」と述べるにとどめた。

  従来の計画では、実質的に東電HDに出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構が16年度末に東電HDの経営評価を行い、まず保有比率を2分の1以下に減らす判断を下すことになっており、文挟常務によると、その判断は同機構に委ねられている。新再建計画では、改革の進捗を踏まえ、19年度に東電HDの自立の可能性や国の関与方針について、国と再度協議する見通しだ。

  

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