【コラム】これから重視すべきは成長よりも幸福度-ベルシドスキー

フランス大統領選挙の社会党候補ブノワ・アモン氏は、成長という名の「神話」や「疑似宗教」を信じていないと表明。成長が「大量消費主義、生産主義、物質主義」の経済発展モデルの一部に過ぎないと主張している。

  これは経済の主流から外れた考え方で、こうした見解を世界的な左派崩壊の兆候の一つとみる人も多い。しかし、20日に公表された国連の2017年版の世界幸福度報告書は、アモン氏が時代を先取りしていた可能性があることを示している。

世界の幸福度ランキング

Bloomberg

  世界幸福度報告書プロジェクトが5年前に発足してから、小さい西欧の先進国が幸福度ランキングで上位に付けてきた。2014-16年のデータを集計した17年版のランキングでは、上位3位はノルウェー、デンマーク、アイスランドだ。ただ、これらの国の成長率は、長期にわたり世界全体の水準を下回っている。

  一方、世界で持続的成長率が最も高い国の一つである中国は、幸福度では改善していない。報告書はこの問題にまるまる1章割いており、過去の調査に基づくと、中国の幸福度は10段階評価で1段階上昇してもおかしくないと指摘している。だが実際には、中国の幸福度は1990年からほぼ横ばいだ。

  ジェフリー・サックス、リチャード・レイヤード、ジョン・ヘリウェルのエコノミスト3氏のチームは、主観的な幸福度を測る6つの変数があると示唆している。それらは、1人当たり国民総生産(GDP)で示される富の大きさ、社会的支援の度合い、健康寿命、人生の選択の自由、寛大さ(寄付の広がり度合い)、汚職に対する認識だ。

  富は数値化しやすいため、多くの政府がこの変数を改善することに集中しており、トランプ米大統領の狙いもこれのように思える。しかし、小さい欧州諸国が幸福度ランキング上位を占めてきたということは、国が一定の富を達成したら、成長は幸福度にとってそれほど重要ではないということを示している。

  エコノミストやテクノクラートの間では、格差を減らし、経済成長をより多くの人に波及させることを課題にすることが、正統的な考え方として浮上している。確かに幸福度ランキング上位の国は比較的平等であるほか、経済的格差と主観的な幸福度を関連付ける経済学の研究も多い。

  しかし、それは成長に対する執着の延長線上にあるに過ぎないのではないか。ヘリウェル氏は、重要なのは単なる所得の格差ではなく、幸福度の格差だと主張している。幸福度の格差を減らすためには、富の分配をより公平にするよりも、社会的な信頼と支援のネットワークを確立することが必要だ。

  (ベルシドスキー氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Happy Nations Don’t Focus on Growth: Leonid Bershidsky(抜粋)

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