日本銀行の布野幸利審議委員は22日午前、静岡市内で講演し、物価上昇の鍵となる企業の賃金設定スタンスについて「慎重なものにとどまるリスク」があり、特に今春の賃金改定交渉に向けた動きに注目していると述べた。同委員はトヨタ自動車出身。

  布野委員は講演で、足元の物価動向は2%の目標に向けたモメンタムは維持されていると説明。消費者物価の前年比は今後2%に向けて上昇率を高めていくとしながらも、「モメンタムはなお力強さに欠け、物価目標の実現への道筋はいまだ道半ばにある」と語った。

  また海外金利が上昇していることを受け、日銀が近い将来、長期金利操作目標の引き上げを検討するとの見方も市場の一部にあるようだとした上で、現在の経済・物価・金融情勢を踏まえると長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、「強力な金融緩和をしっかりと推進していくことが重要である」と述べた。

  講演後に行った記者会見では、今年の春闘で、基本給の水準を底上げするベースアップが前年を下回りそうな情勢にあることについて見解を問われ、4年連続のベアが実現したことは「非常に前向きにとらえてよいのではないか」と述べた。金融政策については「金融政策を転換する、例えば長期金利を調整する状況にはない」と述べた。

  日銀は16日に開いた金融政策決定会合で、長短金利操作の下で長期金利、短期金利の誘導目標をいずれも据え置いた。同日会見した黒田東彦総裁は、経済や物価の先行きについて「上振れリスクよりも下振れリスクが依然として大きいという状況にあるという認識であり、あまり大きく下振れリスクが減少したとも、必ずしも言えないのではないか」と述べた。

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