訪日観光客の増加が続く中、東京の銀座や大阪、京都といった繁華街や観光地で地価の上昇に弾みがついている。ホテルの建設計画が相次ぎ、投資資金の流入も2008年のリーマンショック後、最高となった。

  百貨店や高級専門店などが軒を並べる銀座。ここで創業100年の不動産会社、小寺商店の児玉裕社長は、最近の不動産取引について「多いのは圧倒的にホテル。銀座で10件近くホテルの計画があると思う」と語った。銀座では米国の高級ホテル「ハイアットセントリック銀座東京」が18年初めに開業予定のほか、森トラスト、京阪電気鉄道名鉄インなども開業を計画している。

  中国人観光客らによる爆買いブームは去ったものの、訪日外国人数は伸び続けている。日本政府観光局によると、16年の訪日外国人数は約2400万人で統計を開始した1964年以来最多。みずほ証券の石沢卓志上級研究員は、銀座など一等地では「再開発とインバウンドという複合的な要素で地価が上昇した」と指摘する。

  米総合不動産サービスJLL日本法人のホテルズ&ホスピタリティグループの沢柳知彦氏は「少子高齢化で需要減少も予想されるオフィスビルや住宅とは対象的に、ホテルはインバウンド効果で成長性が期待される」と語った。価格の上昇でオフィスビルは投資利回りが低下する中、「オフィスは採算面で無理でも、観光客需要でいけるということでホテルをやりたいという声がある」と小寺商店の児玉社長は話す。

  ホテルの新規開業の動きは関西や福岡にも広がっている。大阪市や福岡市では中心区でホテル需要が活発だ。今年は大阪ミナミ中心街に地上17階建ての大型ホテルがオープンするほか、星野リゾートも大阪への初進出として新今宮駅前に600室以上のホテル計画を発表した。福岡でもホテルの開業や改装が続いている。商業施設の需要も旺盛で、地価の上昇率は大阪市中央区の地価は4割以上、福岡市博多区は26%だった。

  大阪市の道頓堀地区にあって、なんば駅に近い商業地は、ホテル用地としての需要も旺盛で前年比41.3%上昇。商業地としては全国1位の上昇率となった。

五輪

  20年東京五輪もホテルラッシュの追い風だ。JLLによると16年の日本のホテル取引額は約3640億円とリーマンショック以降の最高を更新。外国人投資家のホテル購入は減少したものの、Jリート(不動産投資信託)など機関投資家による取引が増加したという。JLLは、都内の高級ホテルの客室供給量は17-20年の4年間では2000室以上と試算。13-16年の2倍以上と予想する。沢柳氏は「東京五輪に間に合うように駆け込みの客室供給がある」と分析している。

  日本を訪れるビジネスマンや富裕層の増加で高額客室を提供するホテルも広がりつつある。日本ホテル協会によると、最高宿泊料金は帝国ホテル東京が238万円、アンダーズ東京は128万円、ザ・プリンスパークタワー東京は120万円、パレスホテル東京が108万円など。沢柳氏は日本では超富裕層向けの客室が海外に比べて少ないとして「高額な客室が日本ではもっとあってもよい」と語る。

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