「20代の若造は何も分かっていない」。これがウォール街のベテランに共通の嘆きだ。どの業界にもある典型的な年長者のぼやきのようにも聞こえるが、国際決済銀行(BIS)が先週発表した報告書によると、幾分の真実ではあるのかもしれない。

  外国為替市場の流動性についての報告書で、BISは過去2年間に発生した「フラッシュクラッシュ」の一因として取引高の減少や電子取引の普及と並べ、新米トレーダーの存在を挙げた。特に昨年10月に起こったアジア時間朝の取引での英ポンド急落について、「経験が浅く」、問題の瞬間にどのアルゴリズムを使うべきかの十分な知識がなかったトレーダーが売りを「増幅」させたと結論付けた。

  キース・アンダーウッド氏にとっては、前々から感じていたことが裏付けられた格好だ。「ベテランが足りないということは知識が足りないということだ」とトレーディング経験25年の同氏は述べる。ロイズ・バンキング・グループやスタンダードチャータードなどに勤務した同氏は現在、外為コンサルティング会社を経営。現役トレーダー時代には夜の間、世界の他地域の若手に任せるのが心配で「もちろん注文を調整したが、自分の睡眠時間も調整した」と話す。

  トレーディング部門での比較的報酬の低い若手の割合は現在、ここ数年で最も高い。銀行が人員とコストを減らし電子取引を拡大させる流れの中で「ウォール街の若返り」が進んだ。中でも外為市場で顕著だ。

  コーリション・デベロップメントによれば、世界の大手銀行12行はG10通貨市場担当のフロントオフィス人員を過去4年で約25%減らした。コーリションによると、今では外為デスクで経験10年以上のマネジングディレクター1人に対して最大7人の若手スタッフがいる。この割合は5年前には1対4だったという。

  「修羅場をくぐってきたベテランは皆去った」とカリフォルニア大学サンディゴ校のレディ経営大学院で教えるマイケル・メルビン教授は語る。

  ニューヨークで人材紹介業を営むフランツ・ガトウェンガー氏によると、銀行の外為トレーダー求人の大半が基本年給が15万-20万ドル(約1690万-2250万円)の若手。これはトップトレーダーに比べると、すずめの涙だという。

  突然の市場危機に見舞われた若手トレーダーはパニックに陥り「世界の終わりだ」と感じがちだと同氏は指摘。経験の浅いトレーダーばかりが多くなるのは危険だと述べている。

原題:Rookie Currency Traders Are Causing Trouble at Crucial Moments(抜粋)

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