21日の東京株式相場は続落。米国のインフレ期待や利上げ加速観測が後退、米長期金利の低下が嫌気され、銀行や保険、証券、その他金融など金融株が売られた。原油など国際商品市況の下落を材料に、石油や鉱業、非鉄金属など資源株も軟調。為替の円高警戒感も相場全体の重しとなった。

  TOPIXの終値は前営業日比2.43ポイント(0.2%)安の1563.42、日経平均株価は65円71銭(0.3%)安の1万9455円88銭。

  三井住友アセットマネジメント株式運用グループの平川康彦ヘッドは、「原油と為替のことしに入っての推移は、昨年末に市場関係者が予想していた動きとは異なっている」と指摘。米金利の上昇に連れ1ドル=115ー120円へ向かうと予想されていた為替が現状水準で推移すれば、「企業の新年度ガイダンスの為替想定は1ドル=115円ではなく、110円になりそうで、期初の業績期待がやや縮小しかねない。当面は日本株だけが上がる独自要素に乏しい」と話した。

株価ボード前の歩行者
株価ボード前の歩行者
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  17日に発表された3月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)の向こう5年間のインフレ期待は、2.2%と遡及(そきゅう)可能な1980年以降で最低水準となった。今後1年間のインフレ期待は2.4%と前月の2.7%から低下。20日にはシカゴ連銀のエバンス総裁が、2017年での2回ないし3回の利上げを支持する考えを示したほか、金利据え置きを主張し、先般の利上げ決定に反対票を投じたミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は米CNBCのインタビューで、成長が依然として遅過ぎると言及した。

  インフレ期待の後退から、20日の米10年債利回りは2.46%と1日以来の低水準。きょうの為替市場では、ドル・円が一時1ドル=112円20銭台と2月末以来のドル安・円高水準に振れた。18日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、「反保護主義」の文言を削除した。このほか、20日の海外商品市場ではニューヨーク原油先物が需給悪化懸念で1.2%安、銅やニッケル価格も軟調だった。

  SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは、「米連銀関係者から利上げに消極的な発言が相次ぎ、今月利上げしたFOMCも一枚岩ではない」とみている。原油価格のピークアウトで「モノの値段は将来的に上がりにくくなる上、エネルギーセクター中心に米国株高の足を引っ張るため、米インフレ期待の低下にもつながりやすい」と言う。きょうの日本株市場では、金融や資源セクターなどインフレ関連セクターの弱さが顕著だった。

  もっとも、午後に入りTOPIXは一時プラスに転じるなど下げも限定的。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「国内機関投資家の決算対策売りは先週でほぼ一巡、配当権利落ち後は年金などの再投資が予想されるなど、年度末にかけ需給は非常に良好」と指摘した。三井住友アセットの平川氏は、「債券を売った資金が株式市場に流れており、マネーは市場関係者が思っている以上に増えている」と分析。世界的な景気回復の恩恵業種より、「むしろ内需系がキャッチアップすることで株価指数が維持されている」とみていた。

  東証1部33業種は証券・商品先物取引や倉庫・運輸、保険、その他金融、銀行、鉄鋼など21業種が下落。その他製品や食料品、小売、電気・ガスなど12業種は上昇。売買代金上位ではソフトバンクグループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、第一生命ホールディングス、三井不動産、アイシン精機が安い。半面、前週末の新型ゲーム機生産の倍増報道は驚きとメリルリンチ日本証券が指摘した任天堂は続伸。ゴールドマン・サックス証券が強気判断を示したブラザー工業も高い。東証1部の売買高は15億9718万株、売買代金は2兆397億円。上昇銘柄数は991、下落は862。

米10年債利回りは頭打ち傾向に
米10年債利回りは頭打ち傾向に
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE