米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は就任以来さまざまな先進技術について熱く語ってきたが、現実世界に画像や動画、ゲームを重ねる「拡張現実(AR)」に最も情熱を傾けている。昨年クックCEOは「三度の食事を取るようにARを体験するのが日常になる。生活の大部分を占めるだろう」と発言している。

  アップルの計画に詳しい複数の関係者によると、同社はARを普及させる意欲的な賭けに打って出た。次世代の電子機器市場を支配し、ユーザーを同社のエコシステムに結び付ける最善の方法ととらえているという。内部戦略であるため匿名を条件に明かしたこれら関係者によると、アップルはハードとソフトの内部経験者と外部の優秀な人材で構成するチームを特別チームを設置した。その主要なチームを率いるのは、2015年に米ドルビー・ラボラトリーズから引き抜いたマイク・ロックウェル氏だ。

  AR戦略について、アップルはコメントを控えた。

  調査会社、グローバル・マーケット・インサイツによると、世界のAR市場は2024年までに80%急成長し、1650億ドル(約18兆6000億円)規模に達する見通しという。アナリストとしてアップルを長年調査してきたジーン・マンスター氏(ループ・ベンチャーの創業パートナー)は、将来ARが「iPhone(アイフォーン)」に取って代わると予想。「アップルが成長を続けるには必要なことだ。ハードウエアの使い方の変化に備えて避けられない守備固めだ」と述べた。

  AR機能をアイフォーンに搭載するのはさほど大きな飛躍ではないが、ARめがねの製造はもっと難しい。アップルウオッチのようにアイフォーンに連動させることになるだろう。めがねに3Dのイメージを映し出すには大量の電力が必要になり、駆動時間の長いバッテリーが欠かせない。有益なアプリや没入することができるゲーム、興味をそそる情報コンテンツも必要だ。新しいオペレーションシステムやマイクロチップが必要になる可能性もある。

  関係者によると、AR用めがねが世に出るには時間がかかる。ウエアラブルは難しい。アップルウオッチも大ヒットにはならなかった。2014年に注目を集めたグーグル・グラスは大失敗だった。アップルは今回も、他社に先行させ、後から良いものを出して市場を席巻するという戦略で、時機をうかがっているのだ。マンスター氏は、「ARで成功するにはハードウエアも必要だが、マップやソーシャル・ネットワーク、ペイメントなどほかにやるべきことがある。アップルはそれを成し遂げられる数少ない企業のひとつだ」と述べた。

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原題:Apple’s Next Big Thing: Augmented Reality(抜粋)

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