債券の買い手としては、米連邦準備制度はかなりのんびりとした性格だ。

  連邦準備制度は金融危機後の景気支援で大量の債券を購入したが、保有債券についてヘッジせず、一般の投資家なら夜眠れなくなるかもしれない保有証券の評価損益についても心配しなかった。こうした極端な買い持ち姿勢は、債券市場に信じられないほどの鎮静効果をもたらしており、ボラティリティー(変動性)は近年ではめったに目にすることのない水準に低下した。

  しかし、こんな状況が今後変化しそうだ。金利が上向く中、当局は1兆7500億ドル(約197兆円)に上る住宅ローン担保証券(MBS)の保有を年内に縮小し始める可能性があるとアナリストは指摘している。そうなれば市場は民間投資家の動きに左右されやすくなり、ヘッジの増加につながる可能性が高い。こうしたヘッジは過去に米国債市場の変動を増幅させてきた経緯がある。

  インフォーマ・ファイナンシャル・インテリジェンスのチーフマクロストラテジスト、デービッド・エーダー氏は「ボラティリティーの上昇は避けられないだろう」と話す。
  

  2003年には「コンベクシティ・ヘッジ」の急増で米国債が幅広く売られ、指標利回りは2カ月で1.45ポイント上昇した。ただ、今後これに近い状況が再現されると予想する人はいない。03年当時のヘッジの最大の担い手だったファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)といった政府支援機関(GSE)は現在、わずかしか保有していないからだ。

  それでも、金利上昇やトランプ政権の財政出動に伴う影響について苦悩する債券投資家にとって、ボラティリティー上昇観測は新たな懸念材料になる。

原題:Bond Market Calm Is Threatened by Fed’s $1.75 Trillion MBS Shift(抜粋)

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