3月4週(21ー24日)の債券市場では長期金利に低下圧力がかかりやすいと予想されている。日米の金融政策決定会合の結果が売り材料につながらず、年度末の需給環境の良さが影響して買いが優勢になるとの見方が背景にある。

  新発10年物国債346回債利回りは16日に0.07%と1週間ぶりの水準まで低下した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は15日に利上げを決めたが、先行きの利上げペースの加速観測がやや後退したことで米長期金利が低下。一方、日本銀行は16日、長期国債の買い入れペースを据え置くなど政策の現状維持を決定した。市場で懸念されていた長期金利の誘導目標変更に関するガイダンスにも言及がなかったことから買い安心感が広がった。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日米の金融政策決定会合を終えて、特に注目される材料は見当たらない」とした上で、「黒田東彦日銀総裁は現状の強力な金融緩和政策を当面は維持する姿勢を明確にしており、下値不安は小さいだろう」と指摘。「年度末を控えて投資家からの積極的な現物債売りが見込みづらい中で、日銀の国債買い入れオペや投資家の押し目買いが続くことでしっかりした相場展開が見込めよう」としている。

40年債入札

財務省
財務省
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  財務省は22日、40年利付国債入札を実施する。利回り競争入札によるダッチ方式で、応札は0.5ベーシスポイント(bp)刻みで行う。発行予定額は前回と同じ5000億円程度。岡三証の鈴木氏は、「1%近辺の利回り水準であれば、生保や年金資金からの需要が見込める」と指摘。「上値追いには慎重な投資家が多いと思われるが、良好な需給環境に支えられて、利回りの低下余地を探る動きが続く見通し」と言う。

  日銀の長期国債買い入れオペは、21日に残存期間「1年超5年以下」と「5年超10年以下」、23日には「10年超」がそれぞれ予定されている。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「22日くらいまでは償還資金の再投資が見込めるが、週後半にかけては投資家不在の時間帯に入ってくる」とし、「じりじりと売られる傾向になる可能性がある」と予想。「今月の超長期ゾーン買いオペは23日が最後になるため、その後は需給面でややスティープニング圧力がかかりやすくなる」と言う。

  財務省は22、23日に国債市場特別参加者会合と国債投資家懇談会を開く。同省は国債の特別資格機関21社を対象とする第1非価格競争入札の発行限度額を引き上げる方向で調整に入った、とロイターが複数の政府筋の情報を基に報じた。通常の国債応札義務を5%とする案も併せて示す可能性があるという。

市場関係者の見方

*T
◎T&Dアセットマネジメント債券運用部の泉功二ファンドマネージャー
*来週は40年債入札あるが、新年度の国債発行が全体としては減額になる一方、日銀は国債買い入れオペを積極的に減らす姿勢は見せていない
*生保が年度末だからといって買ってくるような雰囲気は感じられないが、債券相場は底堅い動きが続くのではないか
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*米利上げ観測が続くことで米債利回りの大幅な低下は見込みづらいが、利上げペースの加速を織り込んだ上昇分は修正されよう
*景気回復期待や物価上昇への警戒感は続こうが、円安・株高が一服すれば利回りの上昇懸念は後退しよう
*長期金利の予想レンジは0.04%~0.09%

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*森友学園問題で海外勢中心に安倍政権に疑念も。内閣揺らげば、日銀政策にも影響が及び国債買い入れに対する不透明感はやし立てられる可能性
*日銀が国債買い入れを止めるわけではないので、国内勢は思惑で債券のポートフォリオを外すという動きにはならないが、海外からの売り圧力かかる可能性
*長期金利の予想レンジは0.055%~0.09%

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*為替はFOMC後に円高に動いたが、比較的安定。日本株も下がった後にもみ合い。景気は日本だけでなく、米国なども上向きで長期金利は上方向
*日銀も足元の水準で推移している限り、特段動く必要はないだろう
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%
*T

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE