イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長に対し、市場はさらなる利上げの必要性を示唆し、そうしなければ問題が生じかねないと告げているように見受けられる。

  イエレン議長率いる米金融当局は15日、金融市場の予想通り0.25ポイントの利上げを決めた。だが、連邦公開市場委員会(FOMC)参加者が示した最新の経済予測では、中期的な引き締めサイクルの見通しにほとんど変更はなく、市場参加者の想定よりもタカ派色が薄かった。

イエレン議長
イエレン議長
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  ドル相場や債券利回り、信用スプレッド、株価の反応から判断すると、FOMC参加者のこうした見通しが金利を実質引き下げたも同然の効果をもたらした。モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループが公表した指数によれば、そのような「利下げ幅」は約15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に相当する。

  ゴールドマンのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏らはリポートで、「当社の金融状況指数は政策決定当日に推計14bpの緩和。約2.3標準偏差でほぼ1回のフェデラルファンド(FF)金利引き下げに相当し、現在は昨年12月初めよりもずっと緩和気味だ。この間に2回の利上げがあったにもかかわらずだ」と指摘した。

  15日の利上げ後、米S&P500種株価指数は過去最高値にあと0.5%以内まで上昇。16日は勢いを失った。

  こうした事態によってイエレン議長は、2005年2月にグリーンスパンFRB議長(当時)が難題と呼んだのと同様の状況に直面することになった。当時は金融当局が利上げする一方で、長期金利の低下が持続。世界的な貯蓄過剰にジレンマの原因があるとされた。

  今回、米国の金融状況は昨年12月の米利上げ以降に決定的に緩和が進み、米経済に刺激をもたらす一方で、金融当局の引き締めサイクルに水を差している。

  信用スプレッドの縮小やS&P500種の強気相場に加え、ドルが今年に入って昨年11月の米大統領選後の上値を維持できなかったことはいずれも景気刺激に作用する。トランプ米大統領の掲げる成長押し上げを金融状況の引き締まりが相殺するとした大統領選後の懸念に反する形となっている。

  エレン・ゼントナー氏率いるモルガン・スタンレーのエコノミストは「端的に言えば、米金融当局は金融状況を引き締めるために利上げをするわけで、引き締まりがなければ、もっとやらなければならないということだ」と記した。

原題:Yellen Faces New Conundrum as Financial Conditions Defy Hike (1)(抜粋)

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