東芝が分離するメモリ新会社の売却で、29日の1次入札締め切りを前に、買い手候補が7000億-1.8兆円のレンジで出資を検討していることが分かった。内外の投資ファンドや半導体関連メーカー10社が関心を示しており、日本の政府系金融機関も候補に浮上している。

  複数の関係者によるとメモリ会社買収には、米ウエスタンデジタルやキングストン・テクノロジー、マイクロン・テクノロジー、台湾の鴻海精密工業、韓国半導体のSKハイニックスや米ファンドのベイン・キャピタルやKKRなどが興味を示している。東芝幹部によると、その数は10社程度に上るという。

  東芝は米原子力事業の7000億円を超える損失に伴う債務超過状態を解消するため、主力のメモリ事業の過半も含めた売却を決めた。最低でも1兆円程度の資金を確保したい考え。一方で内部統制の問題から2度にわたる決算発表延期の理由になった米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の売却方針も打ち出している。

  「東芝メモリ」は東芝から分社化して4月1日に設立される。同社は米原発事業で追加損失が発生する可能性も見極めながら、全株売却も視野に手続きを進める。関係者によると、買い手側が検討している買収額は、取得する株式の割合などに応じて約7000億円から1.8兆円の幅の中にある。

日本の政府系も動く

  政府系金融機関も動いている。複数の関係者によると、日本政策投資銀行はメモリ新会社への出資を検討。特別目的会社(SPC)を作って米投資ファンドなどから出資を募るなど複数の選択肢を模索している。ファンドと連合を組む場合は、過半の出資となる可能性もある。

  一方、東芝幹部によると、同社は官民ファンドの産業革新機構からの出資を歓迎する姿勢を示している。現在、買収に関心を示している約10社のうち一つは日本の機関だとしながらも革新機構かどうかの特定は避けた。ファンドや企業は連合を組むことなども検討しており、買い手候補は今後も増える可能性があるという。

  東芝、政投銀、革新機構の広報担当者はコメントを控えた。

技術と人材の海外流出懸念

  東芝のメモリ事業の売却をめぐっては、経団連の榊原定征会長が2月の会見で「半導体はわが国の重要な技術。技術と人材が国外に流出することは国の安全、国益を考えると問題がある」と話した。東芝の綱川智社長は14日の会見で、「政治的なことで問題がある国などは避けつつ、この技術を伸ばしたい」と述べた。

  こうした中、米WHで問題を抱える東芝について、訪米中の世耕弘成経済産業相はロス商務長官、ペリー・エネルギー長官との会談後の会見で、両長官が東芝の財政的安定性が重要と指摘したと共同通信が伝えた。一方、麻生太郎財務・金融相は10日、WHへの米連邦破産法適用申請の是非で早期の判断を促す発言をした。
  
  東芝の17日の株価は高く始まり一時前日比8.4%まで上昇。3.5%高の190.1円で取引を終了した。

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