イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今回の利上げについて、インフレ加速懸念を背景に一段と積極的に利上げを進める政策へのパラダイムシフトを示唆するものではないと投資家を安心させようとした。

  イエレン議長はFOMC定例会合後に記者団に対し、インフレ率が目標の2%を一時的に上回ることを当局は容認する意向だと述べ、政策を「当面」緩和的に保つつもりだと説明した。

  同議長は「要は経済が好調だということだ。景気の力強さと衝撃からの回復力にわれわれは自信を持っている」とし、このため、当局は緩やかに利上げを進めるという方針を堅持すると語った。FOMCの最新金利予測分布図では当局者が年内さらに2回の利上げと、来年は3回の利上げを見込んでいることが示され、前回昨年12月と変わらなかった。

  イエレン議長はこの日の利上げ決定が「経済見通しや金融政策の適切な軌道に関する評価見直しを示すものではない」と述べた。

  今回のFOMC前にイエレン議長を含めた複数の当局者が、利上げが差し迫っていると金融市場にわざわざ伝えたことから、米当局が利上げへの積極姿勢を強めたという観測がこのところ広がっていた。またインフレ上昇のニュースもこうした見方を後押しした。

  市場はこの日、FOMC声明とイエレン議長のコメントを、米当局が金融緩和の解消を急いでいないシグナルと受け止め、米国株と債券は上昇した。

  フェデレーテッド・インベスターズの債券投資マネジャー、R・J・ギャロ氏は、今回のFOMC前に当局者らが一斉に利上げを口にしたことで、年内の予想利上げ回数が引き上げられ、インフレや経済成長予測も上向き修正されるのではないかと投資家は考えていたと指摘。「実際にはどれも起きず、米当局がよりタカ派的になるという観測は退場せざるを得なくなった」との見方を示した。

原題:Yellen Calms Fears Fed’s Policy Trigger Finger Is Getting Itchy(抜粋)

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