16日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が一時2週間ぶりに1ドル=113円台割れの水準まで下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの加速が示されず、米金利の低下を背景にドル売り圧力がかかった。

  午後4時58分現在のドル・円は前日比0.1%安の113円22銭。午前10時前には一時113円16銭と前日の米国時間に付けた今月1日以来の安値を更新。その後は日本株の持ち直しもあり、もみ合いとなったが、午後4時すぎには一段安となり、112円91銭まで値を切り下げた。

  大和証券投資戦略部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、一部の年内4回の米利上げ見通しにくっついて、先週115円を「つっかけたのが前のめり過ぎた」とドル下落を説明。「短期的にみて上値トライの雰囲気はほぼない。115円乗せは苦しくなった」と話していた。

  FOMCは15 日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.75-1%のレンジに設定すると発表した。声明ではインフレ率が目標に近づいているため警戒を強めていることを示唆したが、参加者の予測中央値は年内あと2度の追加利上げ想定しており、前回と変わらなかった。

  市場では米国の利上げペース加速への期待があったため、15日の米国市場ではFOMCの結果を受けて米国債利回り急低下。ドルは全面安となり、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドルスポット指数は終値ベースで昨年7月以来の大幅下落となった。
 
  16日の東京株式相場は下落して始まったが、午後にはプラス圏に浮上し、3日ぶりに小反発して終えた。

  日本銀行はこの日の金融政策決定会合で、昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決めた。誘導目標である長期金利を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いた。

  大和証の石月氏は、「シンボル的な数字である国債買い入れペースの年80兆円増を削除すれば円高リスクもあったが、数字を残したので円を買う材料もなくほとんどノーイベント」と説明した。

  黒田東彦総裁は午後の会見で、米国の利上げについて「直接的な影響はない」とし、海外金利が上がったから国内金利を上げる必要があるとは考えないと述べた。また、マイナス金利の深掘りについては、可能性はゼロではないとする一方、今の時点で考えられることではないと話した。

通商問題に焦点シフト

  FOMCを通過し、市場の関心は週後半のイベントに移りつつある。欧州では17日から始まる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、ムニューシン米財務長官とショイブレ独財務相が会談する。また、米国ではトランプ政権が予算概要を議会に提示する。国防費の増加や裁量的経費の削減が盛り込まれる一方、税制などを含む本格的な予算は5月に提示される見通し。その他、英国、スイス、ノルウェーで金融政策が発表されるが、いずれも据え置きが見込まれている。

  みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、FOMC結果の消化が一服すると、市場の焦点はトランプ大統領の税制改革案の行方や通商問題に徐々にシフトすると指摘。この日の世耕経産相・ロス米商務長官会談では具体的な通商面での要求は出ないとみられるが、今後の二国間通商交渉では厳しい要求が来る可能性が高く、「為替政策の面でも米貿易赤字削減のためにドル高けん制・円安批判が繰り返されるリスクは高いだろう」と記述している。

オランダ政治不安後退でユーロ上昇

  15日投開票のオランダ下院選は、ルッテ首相率いる自由民主党(VVD)が反イスラムを掲げるウィルダース党首の極右・自由党(PVV)を抑えて第1党の座を維持することが確実になった。親欧州の各政党が有権者の支持を集め、ポピュリズム(大衆迎合主義)の広がりに歯止めをかけた。

  FOMCを受けたドル売りに加え、欧州政治不安の後退でユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.0746ドルと2月7日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジストは、「事前に極右政党の支持率が落ちている中で懸念も小さかったが、今回のオランダの結果を受け、少なくとも仏大統領選に向けた懸念が高まることもなさそう」と話した。

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