15日投開票のオランダ下院選で、ルッテ首相率いる自由民主党(VVD)が反イスラムを掲げるウィルダース党首の極右・自由党(PVV)を抑えて第1党の座を維持した。親欧州の各政党が有権者の支持を集め、ポピュリズム(大衆迎合主義)の広がりに歯止めをかけた。

支持者の声援に応えるルッテ首相
支持者の声援に応えるルッテ首相
Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  388選挙区のうち集計が終わっていない1選挙区を除いた開票結果によると、定数150の下院で自由民主党は33議席を得た。自由党は20議席で、キリスト教民主勢力(CDA)と中道の民主66がともに19議席で並んだ。自由民主党を軸とした連立政権樹立に向けた協議が始まるが、新政権の発足まで数カ月かかる可能性がある。

  選挙結果は、ウィルダース氏にとって世論調査で示唆されていた状況より悪く、同氏が掲げてきた欧州連合(EU)離脱や通貨ユーロの放棄、国境閉鎖、オランダへのイスラム教徒移住の全面阻止などを有権者が受け入れなかったことを意味する。英国のEU離脱決定や米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利で勢いづいたナショナリスト的な感情が、欧州の中枢ではそれほど根付いていない様子だ。

  米ピーターソン国際経済研究所の上級研究員、ヤコブ・キルケゴール氏は「オランダ有権者はポピュリズムを拒否し、欧州を支持した」と指摘。「ルッテ首相は『中道勢力によるトランプ氏とブレグジット(英EU離脱)への対抗』を訴え、これが聞き入れられたようだ」と分析した。

  開票結果を受け、ユーロは一時約1カ月ぶりの高値を付けた。オランダ株の指標であるAEX指数は寄り付き時に前日比0.9%高の516.11に達した。

  ルッテ首相の勝利に対し、ドイツのメルケル首相ら欧州各地から祝意が寄せられた。欧州委員会のユンケル委員長の報道官が明らかにしたところによれば、同委員長はルッテ首相に対し、「欧州への賛成票で、過激主義者への反対票だ」と語った。

  ただ、自由民主党の獲得議席は2012年の前回選挙から8議席減り、連立政権を組んでいた労働党は38議席から9議席へと大きく後退。有権者は両党による連立政権に厳しい判断を下した。労働党はオランダ選挙史上に残る大敗で、同党に所属するデイセルブルム財務相の進退は不透明だ。同相はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の議長を務めている。

原題:Dutch Liberals Defeat Wilders’s Party in Blow to Populists (1)(抜粋)


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