中国の李克強首相は15日、金融リスクの抑制に全力で取り組んでいると述べた。また、中国は自由貿易を支持しているとして、中国に厳しい姿勢を示すトランプ米政権との関係悪化を避けたいとの認識をにじませた。

  李首相は北京で開催されていた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)閉幕後の記者会見で、雇用や外国為替、安全保障などの問題で広範な共通の利益を中国と米国は共有しており、信頼を築くため双方が話し合いを続けることが重要だと述べた。

  李首相はまた、トランプ大統領が中国と台湾の関係を巡り歴代の米政権同様に「一つの中国」を尊重する方針を確認したことから、米国との協力で明るい展望があるとも語った。「われわれは貿易戦争を望んでいない」と言明し、2国間の貿易・投資により昨年、米国で100万人近くの雇用が創出されたと説明した。

  李首相は、ドル高が進んだことで人民元が下落したとした上で、中国は輸出を促すために自国通貨の価値を引き下げることは望んでいないと説明。中国人民元を適切かつ均衡の取れた水準で安定的に維持することは世界の金融システムへの重要な貢献だと述べた。

  特に金融セクターなど国内のリスクは真剣に対応する必要があり、当局はこうしたリスクが広がらないよう対象を絞った措置を講じると話した。金融システムは全般的に安定しており、システミックリスクはないと断じ、必要であれば当局には依然として数多くの手段があるとも語った。

成長目標

  李首相は人民大会堂に集まったジャーナリスト約1000人を前に、中国は中程度から高速ペースの成長を追求しており、「シートベルト」を締め、リスクを抑制すると表明。中国は世界経済の成長エンジンであるものの、大きな外部リスクに直面していると指摘した。

  全人代が開幕した5日の政府活動報告で2017年の経済成長率目標を「6.5%前後、可能であればそれ以上」に設定したと発表した李首相は、6.5%成長は低速ではなく、達成は容易なものではないと述べた。
 
  李首相は、中国経済がハードランディングするとの予測が毎年見受けられるが、ここ数年の国内景気はこうした見方を完全に止めるはずだと論じ、中国は強力な刺激策に訴えることなく安定的な成長を維持していると話した。

  李首相(61)によれば、大卒者が記録的水準となることなどから、労働市場は今年「比較的大きな」雇用圧力に直面している。生産設備が過剰な業界の整理を政府が進めているため、「数十万人」の労働者が職を失うとした上で、政府の仕事は豊富な雇用機会を提供することだと述べるとともに、特定分野での大量失業発生を認めてはならないと指摘した。

原題:Li Downplays Trade War as China Buckles Seat Belt on Credit Risk(抜粋)

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