中国の「安定的で堅実」な人民元、17年に直面する5つの脅威

  • 人民元の予想変動率は新興市場の中で最低-オプション市場
  • トランプ政権との貿易戦争や地域的緊張が元に打撃与える恐れ

中国の政策当局者は、人民元にいかなるサプライズも望まない姿勢を明確にしている。

  中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は10日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせた記者会見で、元相場が今年「比較的安定する」との見解を示した。李克強首相は5日の演説で、元のより大幅な変動をさらに容認する姿勢を示唆したものの、人民銀の易綱副総裁は元相場の「安定」を3回の機会で言及し、同僚の潘功勝副総裁も為替市場は「堅実」だと強調した。

  資本規制が外貨需要を抑制する中、人民元の3カ月物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は新興市場で最低レベルにある。

  しかし、人民銀のこうした見通しに対しアナリストらはリスクを認識しており、多方面で波乱に見舞われる可能性を指摘している。

1.タカ派姿勢の米金融当局

  スコシアバンクの通貨ストラテジスト、高奇氏(シンガポール在勤)は、米金融政策が今年は人民元にとって唯一最大のリスクだと指摘する。同氏は年内3回の米利上げを見込んでおり、予想通りなら元建て資産の魅力が低下する。

2.トランプ・カード

  トランプ米大統領は選挙活動中に中国製品への関税を引き上げて、中国を為替操作国に指定する考えを表明するなど、中国との貿易について強硬姿勢を取っている。BNPパリバのエコノミストらは7日付のリポートで、貿易戦争となれば中国には「極めて不利」で経常黒字や元に打撃を与え、構造改革ペースも鈍ると予想した。

3.経済のつまずき

  中国経済は今年、好調なスタートを切っている。2月の生産者物価指数(PPI)は2008年以来の大きな伸びを記録し、製造業は加速しているが、回復基調を弱めるデータが出れば、元相場を圧迫しそうだ。RBCキャピタルマーケッツのアジア外為戦略責任者スー・トリン氏は、17年の成長目標達成に向け、中国は元相場の押し下げが必要になり、レバレッジ(借り入れ)拡大に依存せざるを得なくなるとみている。

4.資本規制の緩和

  みずほ銀行の通貨ストラテジスト、張建泰氏は、外貨需要を弱めることで当局が中国の外貨準備への圧迫を緩和したものの、中国が新たに得た人民元の国際的地位を維持・向上させるため資本規制を年後半に縮小する可能性もあると指摘する。昨年の元安の一因である資本流出が再燃するリスクがある。

5.地域的緊張

  中国は米国による韓国への「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に反発し、韓国への旅行を規制し、国内の韓国企業に厳しい姿勢を取っている。こうした摩擦はまだ元相場に影響していないものの、エスカレートして域内の他の国も巻き込まれれば、アジアの新興市場通貨は人民元を含めて軒並み下落するとスコシアバンクの高氏は予想する。

  アナリストが予想する人民元の変動は12年以来最小で、ブルームバーグが集計した45件の予想中央値では、元が今年2.2%下落する見通し。

原題:China’s ‘Stable, Solid’ Yuan Faces Five Key Threats in 2017 (2)抜粋)

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