10日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=115円台半ばまで上昇し、約1カ月半ぶりの高値を付けた。2月の米雇用統計の発表を米国時間に控える中、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測を背景とした米金利上昇を受けて、ドル買い・円売りが優勢となった。

  午後3時35分現在のドル・円は前日比0.4%高の115円44銭。前日の米国市場終盤に115円ちょうどと1月30日以来の115円台を回復した流れが継続し、午後には一時115円46銭と同19日以来の水準までドル高・円安が進んだ。円は主要16通貨に対して全面安となった。

  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、米10年債利回りがトランプ相場での最近のレンジ2.3~2.6%を上抜けしているとし、「ドル・円も3度目の正直で115円台に乗せた」と説明。「米雇用統計が3月利上げの機運をはく落させなければ、テクニカル的にはもう少し上値を試す余地があると思う。115円を抜けて118円台まで想定している投資家は多い」と述べた。

  10日の東京株式相場は続伸。日経平均株価は一時300円超の上げ幅となり、前日比286円03銭(1.5%)高の1万9604円61銭で取引を終えた。

  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、「今の環境として原油が下がっているにもかかわらず、株は下がらない。その意味でドル・円が下がる理由はない」と指摘。「中国は全人代(全国人民代表大会)を見ても軟着陸ができそうな感じ。フランス大統領選のリスクも和らいできているという中で、ドルが買いやすくなっている。FOMCまではドルはしっかり」との見方を示した。

  中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は10日、全人代に合わせた記者会見で、米国の金利上昇が外国為替相場のボラティリティー(変動性)を高めても、人民元相場は今年、比較的安定するとの見解を示した。

  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した14、15日のFOMCでの利上げ予想確率はすでに100%に達している。

  10日の米国では2月の雇用統計が発表される。ブルームバーグの調査によると、非農業部門雇用者数は前月比20万人増加が見込まれている。1月は22万7000人増加だった。失業率は4.7%と前月(4.8%)から小幅低下、平均時給は前年比2.8%増(前月は2.5%増)の見通し。

  三菱東京UFJ銀の野本氏は、米雇用統計に関して、「1桁万台の増加とかにならない限り、3月利上げは変わらない。逆にADP統計に沿って強い結果となれば、ドル・円は上昇で反応しそう」と予想した。

ドル紙幣
ドル紙幣
Bloomberg

  前日の海外市場では、米雇用統計への期待などを背景に、米国債利回りが上昇。10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)上昇の2.61%程度で引けた。アジア時間10日の時間外取引では一時2.62%と昨年12月15日以来の水準まで上昇した。

  野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、「3月のドル・円の季節性で円安になる傾向もあり、期末の需給は徐々に買い超に傾いていく可能性が高い」と語った。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%高の1ユーロ=1.0595ドル。欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表やドラギ総裁発言を受けて、前日には一時1.0615ドルまでユーロ高・ドル安が進む場面があった。

  ECBは9日の政策理事会で、政策金利と量的緩和(QE)プログラムの据え置きを決定。ドラギ総裁は会合後の会見で、ユーロ圏経済の循環的回復が勢いを増しているとの見方を示した。声明から「利用可能なあらゆる手段を駆使」の文言を削除したことについては、追加措置を取る差し迫った必要性がなくなったことを示すためだと説明した。

  バンク・オブ・アメリカの岩崎氏は、「ドラギ総裁はバランスが取れた発言だった。『利用可能なあらゆる手段を駆使』という文言を削除したことが、ユーロにサポ-ティブと解釈された」と述べた。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE