3月16日に米連邦債務上限が復活することから、米財務省短期証券(Tビル)市場では乱高下に再び備える必要がある。

  米財務省は国のキャッシュバランスを制限する法的義務を満たしながら政府の資金繰りを続けるために今後「特別措置」に頼ることになるが、これに関する注目点を以下にまとめた。

これまでの経緯

  2015年11月に米政府のデフォルト(債務不履行)回避で政治決着した合意の一環として、米財務省は来週までにキャッシュバランスを230億ドル(約2兆6400億円)に減らす必要がある。これは16年大統領選中は債務上限問題の再燃を避けるために議会によって妥協案がまとまった際の水準。当局は既に2月10日以降、キャッシュバランスを2000億ドル余り減らしている。

  財務省は目標達成のため、Tビル入札を縮小し、Tビル利回りが中長期債ほど急速に上昇するのを抑えている。2月14日以降、4週間物Tビルの入札は300億ドル減らし150億ドルに圧縮。3カ月物と6カ月物は3月6日にそれぞれ40億ドル減らした。ジェフリーズのシニアエコノミスト、トーマス・サイモンズ氏によれば、財務省は向こう1週間で約1160億ドルを返済することになるという。昨年12月1日以降では約1770億ドルのTビルが償還された。

  キャッシュバランスを縮小する取り組みに加え、米証券取引委員会(SEC)による16年10月の改革の成果であるガバメント・マネーマーケット・ファンド(MMF)からの需要増で、Tビル市場の供給不足は悪化している。3月16日の債務上限復活ごろに満期の財務省証券の利回りは3月15日償還のTビルより利回りが9ー10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低くなっている。

今後の展開は

  米財務省が政府勘定などへの拠出を停止し、地方政府向けの証券の発行を一時停止することで3月15日以降の借り入れ能力を増やせば、短期金融市場の混乱は速やかに収拾される見通し。

  Tビル入札の規模は既に拡大される方向にあり、財務省は9日、3カ月物と6カ月物の入札規模をそれぞれ60億ドル増やし、360億ドルと300億ドルにすると発表した。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏によれば、当局は3月15日以降の15日間にTビルセクターで最高1200億ドルを調達する可能性がある。

  議会予算局(CBO)はこうした会計上の調整と税収の流入によって、財務省が債務上限の引き上げなしでも数カ月は政府の通常業務の資金繰りを賄えるだろうと予測している。CBOは今月7日の報告書で、議会が債務上限の引き上げや適用停止の措置を取らない場合、財務省は今秋に資金が枯渇すると予想した。ジェフリーズによると、この債務上限の壁は9月末までは直面しそうにないという。

  ムニューシン財務長官は9日、ライアン下院議長に宛てた書簡で、財務省が3月15日から「特別措置」を講じ州・地方政府向けの証券発行を一時停止すると表明。債務上限の引き上げか適用停止の措置が講じられるまでは追加措置を利用すると説明した。

原題:Debt Ceiling Quandary Unleashes Volatility in Treasury Bills (3)(抜粋)

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