欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏経済の循環的回復が勢いを増していることを認める一方で、基調的なインフレ圧力は依然として弱いと指摘。緩和的な金融政策を維持する必要性を強調した。

  総裁は9日、政策決定後の記者会見で「ユーロ圏の経済見通しを取り巻くリスクは以前ほど顕著ではないが、依然として下方向に傾いている。主として世界的要因に左右される」と述べた。政策委員会は債券購入プログラムを少なくとの今年いっぱい継続する方針を確認した。「政策委員会はインフレ率の変動が中期的な物価安定見通しに影響しないと判断すれば、そうした変動を重大視しない姿勢を継続する」と総裁は説明した。

Mario Draghi on March 9.
Mario Draghi on March 9.
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

  ユーロ圏国債の購入を開始してから2年、インフレ率はついに、2%弱というECBの目標を超えた。景気刺激を減らす議論が勢い付きそうだが、総裁はインフレ動向が原油相場の動きに起因していることや欧州各国での国政選挙など政治的リスクが回復を頓挫させるリスクを指摘し、これに対抗している。

  総裁はECBの最新経済予測も公表。今年のインフレ率予想は1.7%と昨年12月時点の1.3%から引き上げられたものの、18、19両年もほぼ同水準で推移する見込みで、景気刺激継続の正当性を示した。18年は1.6%(従来予想1.5%)、19年は1.7%(従来予測から変わらず)と予想されている。

  総裁はまた、必要ならば一段の利下げを辞さない姿勢をあらためて示した。政策委員会は「現行以下」の金利への言及を削除するかどうかについて「簡単に」話し合ったが選択肢を残すことを望んだと説明した。前回まで使われていた「利用可能なあらゆる手段を駆使」の文言は緊急性が後退したことを示すため削除したという。

  「追加措置を取る差し迫った必要性がなくなったことを示すために削除した」とし、「デフレリスクが引き起こした緊急性はもはやない」と述べた。「ECBの金融政策は成功した」と付け加えた。

原題:Draghi Says Downside Risks to Euro-Area Economy Less Pronounced(抜粋)

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