フランス大統領選挙を控えた金融市場はルペン候補の支持率変動に目を奪われ、水面下で拡大しつつあるリスクに気付いていないもようだ。それは、イタリアのベルルスコーニ元首相の復帰計画だ。

  首相を3回務め、メディア帝国を率いる富豪のベルルスコーニ氏(80)は、2013年に脱税で有罪となり一切の公職に就くことを禁じられた。同氏はこの判断を覆して政界に復帰しようと画策している。イタリア左派が分裂している中で、アナリストらは同氏復帰の可能性を真剣に受け止め始めている。同時に、同氏が提唱する並行通貨の導入にも現実味が出てきた。

  アバディーン・アセット・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、ジェームズ・エイシー氏は「政党フォルツァ・イタリア、ひいてはベルルスコーニ氏の復活は正真正銘、懸念されている。民主党が2派に分かれているような現状ではなおさら心配だ」と述べた。「並行通貨の採用は厳格な資本統制なしには非常に困難だ。しかし不可能ではない」と付け加えた。

  ベルルスコーニ氏は公職追放措置の撤回を求め、欧州人権裁判所に訴えている。

  ベルルスコーニ氏はフランスのルペン氏のようにユーロ離脱は主張しないが、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストらが指摘するように、フランスと異なりイタリアには反ユーロ感情が強い。反ユーロの政治グループ「五つ星運動」も力を増しつつある。

  ユーロ圏で最も強い反ユーロ感情を自身への支持につなげようと、ベルルスコーニ氏は最近、リラを復活させる案を打ち出した。

  同氏は先月イタリア紙レプブリカとのインタビューで、並行通貨のアイデアについて学者らと協議したと述べた。第2次世界大戦後、母親に頼まれた買い物で並行通貨(連合国の軍票)で支払った経験を語り、「非常にうまく機能していた」と話した。

原題:Enter Berlusconi: A Man, a Ban, and His Plan to Restore the Lira(抜粋)

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