日本銀行は、時期尚早の長期金利引き上げ観測が高まるのを避けるため、物価上昇率が上昇し始めた段階で、長期金利を引き上げるための条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討している。9日、複数の関係者への取材で分かった。

  複数の関係者によると、日銀内には、物価の基調が着実に上昇していることが確認できる前に長期金利引き上げ観測が高まることへの懸念がある。原油価格の反転や円安の影響で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比は年内に1%程度に達する可能性がある。日銀は、エネルギー価格上昇の影響などを除く物価の基調が2%の物価目標に向かっていることを確認する必要があるとの立場だ。賃金の明確な上昇や消費の回復を確かめたいとの声も強い。

  複数の関係者によると、日銀が15、16両日に開く金融政策決定会合は現状維持となる見込み。利上げが見込まれている米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定後に開かれるが、足元の景気動向が1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した見通し通りに推移していることや、金融市場が落ち着いていることから、政策変更は必要ないとの判断だ。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは9日付のリポートで、「金融政策運営の変更は、緩和方向にも引き締め方向にも考え難く、無風以外は想定されない」としている。

  雨宮正佳理事は9日の参院財政金融委員会で、「現状では2%の物価目標まで相当の距離がある」と言明。これをできるだけ早期に実現するという観点からは、現在の金融市場調節方針に基づき強力な金融緩和を推進していくべきであり、「現下の状況の下で長期金利の操作目標を引き上げるのは適当でない」との見方を示した。

  一方で、佐藤健裕審議委員は1日の徳島市での会見で、コアCPI上昇率が年末にかけて1%に届き、長期金利の0%維持が困難になる可能性があるとして、「10年金利目標を微調整することは十分あってしかるべきではないか」と述べた。

  総務省が3日発表した1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.1%上昇と2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。エネルギーの下落幅が縮小したことで全体を押し上げた。

  JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは9日付のリポートで、今回の金融政策決定会合では「政策変更は考え難い」としながらも、「今後、物価が徐々に上昇していくことが展望される中で、黒田総裁の発言が注目される」としている。

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