米大統領選でのロシアの関与やトランプ大統領が主張する「盗聴」疑惑など政治が密接に絡む問題の渦中にある連邦捜査局(FBI)のコミー長官は、当面辞任する意向がないことをあらためて明らかにした。

  8日ボストンで開催されたサイバーセキュリティーに関する会議で同長官は、自身の10年間の任期に関して、「(満了までの)今後約6年半は私とおつきあいいただくことになる」と述べている。

ボストンで講演するコミーFBI長官
ボストンで講演するコミーFBI長官
Photographer: Scott Eisen/Bloomberg

  トランプ大統領はオバマ前大統領の指示で大統領選中に電話を盗聴されたと主張しているが、匿名の当局者によれば、コミー長官は司法省に対してその主張を正式に否定するように要請。会議やその後の聴衆からの質問では、この件やロシアが2016年の大統領選でハッキングを行ったという疑惑については直接触れなかった。しかし、ハッキングは金やデータを盗むことだけでなく、米国の経済や安全保障に影響を与えつつあると指摘、「この偉大な国の自由な市民に保障された基本的な権利に対する攻撃を増やしつつある」と述べた。

  告発サイト「ウィキリークス」は7日、米中央情報局(CIA)所属のハッカーが携帯電話での会話やメッセージの暗号化を回避する技術を開発したと指摘した。コミー長官はこの件についても直接のコメントを避けて「電話のハッキング技術は高くつき、つり合わない」と述べるにとどまった。

大統領とのあつれき

  トランプ大統領は就任式後「私より有名だ」としてコミー長官を褒めたたえたものの、FBIの情報漏えい者は政権を揺るがせていると叱責(しっせき)している。FBIなどの米情報機関が、昨年の大統領選にロシアが関与したと指摘したことについても大統領は批判的だ。

  コミー長官は(56)はこれまでにも上司とあつれきを生んできた。司法副長官だったジョージ・W・ブッシュ大統領時代には、令状のない盗聴計画に反対してホワイトハウス高官と鋭く対立した。昨年は、アップルに対しテロリストの使用した携帯電話のロック解除を強制してハイテク業界やプライバシー活動家から総スカンを食った。さらに、大統領選終盤に電子メールを捜査中と公表したことがヒラリー・クリントン元国務長官を敗退に追いやったと民主党陣営から批判を受けた。

  しかし、誰と衝突しようとも、FBI長官の更迭はいかなる大統領にとっても容易ではない。1993年、当時のクリントン大統領とリノ司法長官がウィリアム・セッションズ長官を更迭したのがFBI史上唯一の成功例。

原題:FBI’s Comey Says ‘You’re Stuck With Me’ for Six More Years (1)(抜粋)

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