債券市場のベテランで、ジャナス・キャピタル・マネジメントのファンドマネジャーを務めるビル・グロース氏の目には、米国債市場の弱気派が今にも雄たけび上げるような相場に映る。

  米10年債利回りは8日、2月のADP民間雇用者数が予想を大きく上回る伸びを示したのを受け、昨年12月以来の高水準の2.58%を付けた。利回りは2.6%台に接近しつつあり、この水準が週間ベースで続けば弱気相場が始まるシグナルだとグロース氏は述べている。

ビル・グロース氏
ビル・グロース氏
Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

  フィボナッチ・レシオに基づくテクニカル分析やモーゲージ関連のヘッジが増える可能性など、この水準が極めて重要なことを裏付ける材料は多い。その上、短期金利のトレーダーは来週の連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派的メッセージが示されることに備えており、彼らの予想通りなら、利回りは急上昇に向かう可能性がある。

  10年債利回りは昨年7月に過去最低の1.32%を付けて以降、ほぼ2倍になった。11月の米大統領選で減税や規制緩和、財政出動の公約を掲げたドナルド・トランプ氏が勝利した後に債券安は加速。来週の利上げの可能性が高いことを示唆する最近の米金融当局者の発言が、利回り上昇に拍車を掛けている。

  グロース氏は1月に「10年債利回りが週間ベースや月間べースで2.6%を上回れば、テクニカル分析では極めて強力で重要な意味があるため、そうなるときは上昇相場が壊れ、弱気相場入りだ」と指摘。同氏は利回りが2.6%を上回ることは、ダウ工業株30種平均が1月25日に実現した2万ドル超えよりも重要な金融市場のバロメーターだと指摘していた。同氏に8日に取材を試みたが返答はない。

  米国債市場のテクニカル分析を重視する市場関係者は、2.6%が注目すべき重要な水準だと認めている。フィボナッチ分析によると、2.64%はここ数年の債券強気相場に対する戻りの重要な節目に当たり、それを突破した場合、利回りはその期間の動きを完全に元に戻し、2013年に付けた3%を若干上回る水準を試す可能性がある。

  一方、債券業界の他の大物であるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)やグッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード最高投資責任者(CIO)は、10年債利回り3%が弱気相場入りの分岐点とみている。
原題:Bill Gross’s Bond Bear Market Looms as 10-Year Yield Nears 2.6%(抜粋)

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