欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ圏にインフレが戻ったなどと考えていないことは明らかだ。総裁は9日の政策委員会後の記者会見で、基調的な物価圧力は依然として弱いとの認識を繰り返すだろう。

  ユーロ圏のインフレ率は1月に2%と、2%弱を目指すECBの目標を上回った。9日公表される最新の経済予測でインフレ率見通しが上方修正されるかもしれないが、それがドラギ総裁の発言内容を変える可能性は低い。

  問題は、最近のインフレ率上昇がドラギ総裁の設定した条件を満たしているかどうかだ。政策見直しの前提条件として総裁はインフレ加速が「幅広く、持続可能で、自律的かつ、中期的に一貫している」ことを挙げている。

  • 域内の国別に見ると、1月のインフレ率はアイルランドの0.2%からベルギーの3.1%とばらつきが大きい
  • 総合インフレ率の上昇は主として2015、16両年の原油価格の動きに起因しているが、今年終わりに向けてその影響は薄れる見込みだ
  • エネルギーなどの影響を除いたコアインフレ率は1%に届かず、しかもユーロの18年間の歴史の中で一貫して低下傾向にあり構造要因を示唆する
  • 長年の危機と低成長の中で資源の稼働率が低く、失業率は10%に近い
  • コアインフレ率を構成するモノとサービスの価格上昇の兆しは見られない
  • インフレ期待は弱まりつつある。ECBが重視するインフレ期待の指標は昨年終わりに2%に近づいたが、その後は低下しつつある

というわけで、ドラギ総裁の条件は満たされていない。

原題:Draghi’s Caution on Inflation Signals ECB Stimulus Stays for Now(抜粋)

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