ドル・円は113円台後半、米貿易赤字や米商務長官発言が重し

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  • 朝方に付けた114円02銭から午後に一時113円61銭まで下げる場面も
  • 米貿易赤字拡大はドルネガティブ、米商務長官発言も-Cアグリコル

8日の東京外国為替市場のドル・円相場は、1ドル=113円台後半で推移。米貿易赤字拡大やロス米商務長官発言などを受けて、ドル売り・円買いがやや優勢となった。

  午後3時55分現在のドル・円は前日比0.3%安の113円70銭。朝方に付けた114円02銭から徐々に水準を切り下げ、午後に入って一時113円61銭を付けた。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、ドル・円について、「米貿易赤字拡大は、いろいろ言われるとの思惑から一瞬下がった。米貿易赤字の拡大は、ドルネガティブに使われる材料。ロス米商務長官のCNBCでの発言を気にする人はいるだろう。為替をいじると懸念する感じではないものの、非関税障壁などでプレッシャーがかかるとの見方もあり、ドルを買っていける感じではない」と説明した。

  米商務省が7日に発表した1月の貿易赤字は前月比9.6%増加の485億ドルと、2012年3月以降で最大を記録した。ロス米商務長官は、「数カ月内に好ましくない貿易合意を再交渉し、貿易の実行に新たなエネルギーを注ぎ込む」との声明を電子メールで発表した。

  同長官は同日、CNBCとのインタビューで、ドル高が米貿易赤字削減の障害になっているかとの問いに対し、「ドルが強すぎるのではない。一部の他通貨が恐らく弱い」と述べた。

  一方、財務省がこの日発表した1月の国際収支統計で経常収支は前年比89%減の655億円の黒字となった。黒字は8カ月ぶりの縮小となった上、市場予想の4分の1にとどまった。内閣府が同日発表した昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、改定値)は前期比年率で1.2%増加と速報値から0.2ポイント上方修正されたものの、市場予想を0.3ポイント下回った。

  クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「日本の貿易収支やGDP改定値への反応はあまりなかった。日本の材料より米国の方に目が向いている」と指摘した。

  8日の米国では、2月のADP雇用統計が発表される。ブルームバーグの調査によると、前月比18万7000人増加が見込まれている。1月は24万6000人増加だった。10日には2月の米雇用統計が発表される予定。

  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した利上げ予想確率によると、14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は8日時点で96%程度に達している。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、「来週の米利上げはほぼ織り込み済みとなってしまっているので、これを材料にドルを買うことは出来ないようだ。実際にFOMCのドット・チャートが年内の利上げ回数予想を増やす等を見届けたいと考えているようだ」と分析。「それゆえ目先は貿易問題を取り上げて、警戒感を強めるといった動きでやや上値が重くなる感じなのだと思う。ただ、実際に強硬な発言が出ているわけでもないので下げも限定的といった感じ」と述べた。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.02%高の1ユーロ=1.0568ドル。欧州中央銀行(ECB)は9日に金融政策理事会を開催する。ブルームバーグ調査によると、政策の据え置きが見込まれている。

ユーロの行方は?

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  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「昨日のオーストラリア準備銀行(RBA)も前回の内容を踏襲した声明だったのと同じようにECBも基本的には動けないと思う」と予想。ドイツ消費者物価指数(CPI)はかなり伸びてきている半面、4月から債券購入を月800億ユーロから600億ユーロに減額するのである程度つり合うと指摘。「期間を延ばすものの、月々の購入額が減っていくということで少しバランスが取れるのでないか。来月から減っていく中で、今ここで何か行動を起こしたり新しい指針を出したりする必要はたぶんない」と語った。

  ポンド・ドル相場は0.1%高の1ポンド=1.2208ドル。前日には一時1.2170ドルと1月17日以来のポンド安・ドル高水準を付けた。

  クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、ポンド・ドルについて、「英国の欧州連合(EU)離脱交渉の影響が出て、ポンドが売られた。リスボン条約50条発動は分かっていることだが、うわさで売られて事実で買い戻すという動きになるのではないか」と述べた。

  スラック英首相報道官は7日、記者団に対し、メイ首相はリスボン条約50条を3月末までに正式に発動し、EU離脱交渉を開始する方向に完全に向かっていると説明した。

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