マレーシアの殺人、中国の抗議デモ、日本に向けたミサイル試射-。

  このすべてが北朝鮮にたどることができる。金正恩・朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領の反応を引き起こそうと挑発しつつ、アジアの緊張をあおっている姿勢も浮き彫りにする。経済制裁や懐柔策、軍事的な圧力、この全てを持ってしても暴走を止めることができない北朝鮮に対し、トランプ氏や習近平・中国国家主席をはじめとする世界の指導者の対応が問われている。

朝鮮中央通信が7日公表した、朝鮮人民軍が発射したとされるミサイルの未確認写真
朝鮮中央通信が7日公表した、朝鮮人民軍が発射したとされるミサイルの未確認写真
Source: KCNA via KNS via AFP/Getty Images

  トランプ大統領は当初、金正恩氏との対話に後ろ向きではない姿勢を示していた。だが最近では、核開発の放棄なしには交渉はあり得ないと主張したオバマ前政権の路線をなぞりそうな様相だ。

  トランプ大統領にとって、北朝鮮問題の重要度はオバマ時代と比べて上がっているかもしれない。米本土に届く核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発で、北朝鮮の技術に進歩が見られるからだ。挑発の手を休めていた北朝鮮が最近相次いで国際社会を騒がせているのは、米国を交渉の席に着かせ譲歩を引き出すことを狙った金正恩氏流のやり方なのだろうと、複数の専門家はみている。

  ソウルの延世大学で中国地域を専門とするジョン・ドルーリー准教授は、「おとなしくしていても意味がなく、行儀を良くしても米国には影響しないと北朝鮮は判断した」と分析。それでも「北朝鮮は交渉を望んでいるのだと思う」と述べた。

  北朝鮮の言動はかつてないほど切迫感を増している。AP通信によると、同国の国連大使は安保理に向けた書簡で、3月初めに始まった米韓軍事演習について朝鮮半島と北東アジアを「核の惨事」に向かわせるリスクを冒していると非難した。

  ただ、金正恩氏は殉教者として終わりを迎えるよりも、生存して権力の座にとどまりたいはずだと、トロイ大学講師でソウルを拠点とするダニエル・ピンクストン氏は述べた。

原題:Kim Jong Un Lights Fires Across Asia, Raising Dilemma for Trump(抜粋)

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